シブヤ大学

授業レポート

2016/6/14 UP

旅人の"ワクワク"を「カタチ」に
~囲炉裏(IRORI)で人と人をつなげるイベント作り~


街並み・食事・現地の人達との何気ない会話...。
旅先で新しい文化に触れた時、心の中でワクワクを感じませんか?

そんな感覚的な”ワクワク”を「カタチ」にすることができたら、


それをホステルへ訪れる旅人への「おもてなし」として手渡すことができたら、
旅先のワクワクを日常生活でも感じることができるはず。

この授業はそんな思いからスタートしました。

シブヤ大学のゼミ・サークルの1つ「週末アジア旅倶楽部(http://www.asiatabi.club/)」。旅やアジアの文化が大好きな僕達が興味を持ったのは、日本橋の横山町にある「IRORI Nihonbashi Hostel and Kitchen(以下:IRORI)」。

日本を訪れる世界中の旅人たちに、「ローカルの魅力あふれる旅をお届けしたい」


「地方と都会をつなげる拠点をつくりたい」そんな想いから生まれたこのホステルは、世界中から日本に来る旅人達が、まさに囲炉裏を囲んでコミュニケーションをとり、日本食や日本の食材を通じて日本での旅を楽しむ起点として今注目されています。

今回の先生はこの「IRORI」の立ち上げに関わった、株式会社R.projectプロデューサーの中尾有希さん。中尾さん自身も大学進学をきっかけに、旅や地域が持つ個性の魅力に目覚めた旅人の一人。授業はそんな中尾さんと週末アジア旅倶楽部のメンバーのトークセッションからスタートしました。






◇「旅」ではなく「遺跡」が好きだった!

世界中を旅して、旅行業界の経験も深い中尾さんですが、意外にも興味があったのは「旅」ではなく「遺跡」だったそうです。大学で建築学を専攻していたこともあり、文化財や遺跡を保護する仕事に就きたいと考えていましたが、大学3年生の時に参加したフランスの遺跡を修復する国際ワークキャンプが中尾さんの考え方を大きく変えました。

「国際ワークキャンプにはフランス人、ロシア人、ルーマニア人など、様々な国の人達が参加していて、生活・宗教・政治などの多様な文化の違いに触れることができました。その経験から、多くの文化や人に出会うことのできる”旅の可能性”に興味を持つようになりました。」

それがターニングポイントとなり、大学を1年間休学。建築事務所に携わりながら日本各地を巡り、その後、半年間に渡り世界各国を旅することになります。




◇「旅」を「仕事」にする

旅を通して「人」や「土地の個性」に触れることの魅力を感じた中尾さんは、その経験や感動を活かす仕事に就きたいという思いから、卒業後は「じゃらん」や「トリップアドバイザー」といった旅行業界に就職。国内だけでなく世界中から日本を訪れるツーリストをターゲットにしたインバウンド観光での経験を積みました。

その後、アメリカのシアトルに渡り、リーダーシップ教育を行っているNPOに参加。帰国後、現在のR.projectに参加して「IRORI」の立ち上げにプロデューサーとして携わることになります。





◇「IRORI」で旅人のワクワクをカタチにする

この授業を考える時に大切にしていたことがありました。それは、自分達が考えたアイディアを実践してみること。
日本を訪れる外国人数は2015年度に2,100万人を超え、2030年までに6,000万人を目指す政府の新目標も発表されました。そして、4年後には東京でオリンピックが開催されます。日本各地、街の至る所で、世界中の文化や人とつながる瞬間がこれまで以上に増えていくはず。

私達が旅先で感じたワクワクを今度は日本を訪れる旅人達に伝えたい...。それには、ワクワクという感覚を具体的なカタチとしてとらえることが必要です。「東京の空の玄関口」となっている成田と羽田の2つの国際空港。そのどちらからもアクセス性が高く、今、旅行業界やツーリストから注目されているエリアの1つ、東京・日本橋周辺にある「IRORI」を舞台に自分達のアイディアをイベント企画として実践してみる。そんな多少無茶なお願いに、素敵な笑顔で協力してくれた中尾さんに心から感謝です。

授業の後半は参加者1人1人が感じた「旅のワクワク」をキーワードにまとめて、そこから5つのグループに分かれ、「IRORIのイベント企画を考える」というテーマでのグループワークになりました。

「旅人を迎える立場」になって考える...。これまで様々な国や地域を巡って、その街の文化や人と触れ合ってきた私達にとってもこれは新しい感覚でした。

約1時間という短い時間でどんなアイディアが出てくるのか?...と少し不安でしたが、「若手の力士とちゃんこ鍋を楽しむ会」や「IRORIで日本の夏祭体験」といった魅力的なイベント企画が次々と出てきたのには驚きました!

今回の授業で考えたイベント案は、授業後に引き続き企画チームを作って話し合いを行い、シブヤ大学のゼミ・サークル「週末アジア旅倶楽部」プレゼンツのイベントとして、実際に「IRORI」で開催することを目標に今後も活動を続けていきます。


7月に予定している中尾さんへの「最終プレゼンテーション」を通過したイベント企画が、今年の夏から冬にかけて次々と「IRORI」で開催されていくはず。今後の展開が今から楽しみですね!





(レポート・写真: 週末アジア旅倶楽部)