シブヤ大学

授業レポート

2016/6/3 UP

4年後の自分へ 
~未来予想図をつくろう~


4年後に東京オリンピックが開催されている頃、自分はどんな生活をしているのかな?あなたが結婚、出産、子育てなど、様々なライフイベントを迎える際、大切にしたいことや楽しみにしたいことは何ですか??この質問を考える1日。『家族』をキーワードに4年後の未来を想像し、未来予想図を描いてみませんか?をテーマに28人の参加者が集まりました。




 今回のまちの先生である池田さんは雑誌の編集長時代に仕掛けたNPO活動が現在の様々ン活動のベースとなっています。その活動のひとつに自身のお産経験を伝える「おっさんがお産を語る会」があります。男性から見たお産の光景、関わり方を伝え、お産の楽しさ、男性にしかできないサポートを伝えています。仕事人間だった池田さんは、なぜお産を語るおっさんになったのでしょう。


 


~この春、55歳にして4人目の妊娠発覚!~


「55歳で妊娠っ!? おー。すごいね。うらやましい限り」というのが36歳絶賛妊活中の私の感想。池田さんの周りの方々からも「計画してたの?すごいね。」との声が多かったようですが、「そんなわけないだろ。命は授かりもの。」と、熱のこもった池田さんのお話しは始まりました。


まず授業の始めに、「命は授かりもの?」「性は授かりもの?」「生まれてきたこと自体がハッピーだと感じる?」「生きていることを何かに感謝したい気持ちがある?」と4つの質問が参加者に投げかけられました。3番目の質問に手を挙げる人は少なめ、日本人は他の国の人々に比べて自己肯定間が低いのだそうです。


 


~四十を過ぎて「愛」を知り、お産を語るオッサンに~


そして、今回の先生である池田さんがいかにして“お産を語るオッサン”になったのかというところから、病院と助産院の違い、現代の女性はだんだんと自然に産めない時代になってきているということ。簡単に言うと、病院は「産ませてくれるところ」、助産院は「自分で産むところ」。陣痛が来てもなかなか産むことができなくて、病院に搬送されて帝王切開になるというケースも少なくないそうです。もともと医師がおらず医療設備の整っていない助産院では正常分娩しか取り扱うことができません。そんな中、せっかく助産院で産もうとがんばっていても、かなわずに途中で搬送されて病院で出産となるケースも少なくないそうです。このような現実の中で経営が立ちいかなくなり閉めざるをえない助産院も増えてきているとのこと。とても残念に思いました。


 


~お産は立ち会うものじゃない。抱き合う共同作業です!~


実際に池田さんは助産院で3人のお子さんの出産に立ち会われており、もとい、出産を奥様とともに体験されており当時の写真を交えて熱く語ってくれました。でも、時間がなくて少し控えめ。もっと聞きたかったの声多数。


 


~幸せには、深度がある。~


「昔の女性は子どもをたくさん産まなければならず、幸福ではなかったのか?」


「今、子どもは少なく女性にも時間がたくさんあって、幸福なのか?」


どちらの場合も一概には「幸福」や「不幸」と答えることはできません。表面にある浅い幸福感=快楽、深いところにある幸福感=存在の喜び、と幸福感には深度があると話されました。「存在の喜びは出産できるということでむしろ女性の特権だと思う、しかしお産に関わることで男も存在の喜びに触れることができる」と“お産を語るオッサン”は男性にもお産の共同作業に参加することを強く勧めるのでした。


 


穏やかそうな外見に反し熱い思いをもった池田さんのお話は尽きるがありませんが、予定の1時間はあっという間に過ぎていき、人生の4大テーマ「仕事」「結婚」「家族」「子ども」を考えるとき、どこに軸をもっていくのか。「何より自分」という個人主義ではなく、「自分より他人」と思えたら素敵ですよね?と池田さんのお話しは締めくくられました。


 


授業は、休憩を挟んで後半に。


 


『4年後の自分の未来予想図を描く』


後半は、まず同じテーブルを囲んだ参加者3人でアイスブレイク。名前となぜこの授業に参加しようと思ったのかを共有します。その後、各自で「2020年(4年後)の未来予想図」を仕事とプライベートに分けて記入し、記入した内容を順番に発表。発表を聞いてから3人で他の2人への未来の応援メッセージを書き合いました。そして、その“未来予想図”を未来の自分へのお手紙として送りました。



4年後という遠くもない未来について現実的に考え文字にすることで、4年後の自分が少し具体的にイメージできるようになり、他の人にも発表したことで実現に向けての責任感を持ち一歩前に進んだような気持になりました。初対面の二人から自分の未来に向けての応援メッセージを頂けるなんて感動でした。


「出産・育児にポジティブになりきれないところがあるので、気持ちに変化があればと思って参加した」や「もやもや悩んでいるのを、色々な人の意見を聞いて少しでも晴らしたいなあという気持ちで参加した」や「将来の自分がなかなか考えられなかったので、考えるきっかけにしたかった」などなど、様々な思いを持ってたくさんの方が参加し、様々な新たな思いを、もしくは思いを再確認して帰られたようでした。未来についてまじめに考え、さらに他人と共有するのは少し恥ずかしい感じもしましたが、一歩進む良いきっかけになったと思います。「4年後に同窓会したい」との声もたくさん頂きました、4年間を振り返りながらまた次の一歩を踏み出すきっかけの場をつくれるといいですね。




(レポート:青木佳子・写真:喜多村祐介)