シブヤ大学

授業レポート

2016/3/14 UP

京都観光おもてなし大使と学ぶ伝統文化
~日本舞踊の所作〜

日本舞踊西川流の師範であり、京都観光おもてなし大使でもある西川影戀(えいれん)さんが、本日の先生です。題して「京都観光おもてなし大使と学ぶ伝統文化〜日本舞踊の所作〜」。日本舞踊の歴史や作品、所作、西洋文化との違いなどを分かりやすく学ぶことができました。あまり縁のなかった日本舞踊を身近に感じることができました。

大衆文化として庶民に親しまれた日本舞踊

授業の前半は日本舞踊について座学で学びました。


日本舞踊の起源は、遠く古事記までさかのぼります。天照大神が岩戸に隠れてしまい、地上から光がなくなったときのこと。天鈿女命(アマノウズメノカミ)が踊りをし、それを見た神々の笑い声に誘われて天照大神が岩戸を開けたと言われており、これが舞踊の起源だそうです。ちなみに、天鈿女命は現在でも芸能の神様として崇められています。
日本舞踊が歌舞伎とともに花開いたのは、江戸時代です。鎖国によって外からの刺激が制限されたことで、自国の文化が研ぎ澄まされていくなかで、発展していきました。今でこそ少し敷居を高く感じてしまう日本舞踊ですが、もともとは庶民から親しまれる大衆文化だったそうです。

授業では、先生による実技も見せて頂きました。

見せていただいたのは、日本舞踊の代表曲である「道成寺」という作品です。動きの1つ1つが、指の先まで雅やかでした。


日本舞踊で体を動かす〜NOSS(にほん・おどり・スポーツ・サイエンス)〜

授業後半は、参加者みんなで日本舞踊を実践しました。


やってみると、想像以上にあちこちの筋肉を使います。例えば、ただ静かに立ち上げるだけに見えた動きでも、脚や腹筋などをちゃんと使わないと綺麗に立ち上がれませんでした。日本舞踊で体を動かすことは健康にもつながるということで、最近では「おどりを使って筋力の衰えを少しでも防ごう」を目的に、「NOSS(にほん・おとり・スポーツ・サイエンス)」という踊りも考案されているそうです。


自国の文化を学ぶ大切さ


最後30分は座談会の形で、参加者からの質疑に先生が答えていきました。参加者の方々の関心が高いようで、次々と質問があがりました。
その中で印象に残ったのは、「日本舞踊は難しい印象があるが、江戸時代の庶民はなぜみんな理解できたのか」という質問でした。先生が考える理由の1つは、「習っていないから」だそうです。確かに、西洋のクラシック音楽や近代音楽については、学校の音楽の時間に習いました。最近ではダンスも必修科目になりましたね。一方で、日本舞踊や雅楽といった日本の文化は、今まで習う機会がありませんでした。生まれ育った自国に素晴らしい文化があるのですから、自国の文化をもっと学び、楽しめるようになりたいと思いました。


  (レポート:小林大祐/写真:谷口理沙)