授業レポート

2016/2/12 UP

美味か、ゴミか!?~賢いくらし整理術~

「食べものを ゴミにしないで 美味にして」


 


 あとで使おうと取っておいたものがいつのまにかゴミになってしまった。使わないと分かっているのになんだか捨てられない。皆さん、こんな経験ありますよね?日々気をつけながら生活しているはずなのに、何故こんなことになってしまうのでしょうか。

それは「理想」も「価値観」もなく漫然と生活をしているから 

と、「ライフオーガナイザー」でもあり「ハッピー冷蔵庫アドバイザー」という、ミステリアスな肩書きを持つ大野先生は言います。その先生の授業は、ひとことで言うと「よりよい生活をするための整理術を身につけましょう」という内容です。耳や心がいろいろ痛いながらも、楽しく多くの気づきがあったその様子をレポートしていきます。


■ まずは冷蔵庫から始めよう
  今回は単に手法の話ではなく、『どう整理したらよいかの前に「自分の生活をどうしたいか」を見つめ直すことが重要です。』という大野先生。これがライフオーガナイズ = 人生をコントロールすることで、身の回りの品をただ片付けるのではなく、よい生活のために暮らしの土台をつくるという目的意識が重要とのことです。目先の片付けだけではダメで、よりよい人生を送るための考え方や準備、そして継続性のある行動はどうあるべきか、これが今回の学びのポイントです。

 ただ、そうは言ってもいきなりは頭に入ってきません。そこで授業は理想論からではなく、「なぜ物が余るのか」を理解するところから始まります。最初のグループワークは、 
・冷蔵庫の中身でゴミになってしまったものは何か
・なぜ余らせてしまったのか
を皆さんで話し合うこと。
 『なんとなく欲しかった調味料』『テレビで紹介されていたカッコいい野菜』『まとめ買いした安売りの品』といった様々なものが、『親の分も買ったから』『後で使うつもりだった』など、いろんな理由で余っては捨てられているようです。



 せっかく整理できても、なぜ余るかを理解していないと、リバウンドしてまたゴミが出ます。考え方や生活は人それぞれですので、自分がどういうタイプかを認識することが最初の一歩。『空間より先に思考の整理を』という金言を先生からいただきました。いつも無駄なゴミを出してしまうとお嘆きの方は、一度ご自身の生活パターンを冷静に振り返ってみることをお勧めします。
 
 整理の基本は「全部出して」「分ける」こと。分けるには、いろいろな分け方がありますが、これが難しい。判断が重要と分かっていても、そこに迷いがあると、なかなか分けられない。



 そこで先生は、まず冷蔵庫の片付けから始めましょう、とおっしゃいます。なぜなら、食材は「腐っている」か「腐っていない」で判断できるから。この単純な判断基準で「冷蔵庫をきれいに整理できた!」という自信をつけて、キッチン周りの食器や調理器具、服・・・と、広げてゆけばよいとのことです。先生曰く、冷蔵庫→キッチン周り→服→本→思い出の品、の順に整理整頓の難易度が上がるのだとか。確かに、部屋片付けの最初に本や手紙、アルバムなどから手をつけて結局終わらなかった、という経験は皆さんありますよね?
 
 具体的な整理方法ですが、全てのものが全部見えるように一旦外に出し、そこから「美味」と「ゴミ」に区別しましょう。ただ、判断に迷うところは「もったいない精神」でギリギリゾーンを作ってもよいとのことです。視覚的にも整理できるようにして、迷いのない判断に繋げます。そして、捨てるものが分かったあとは、「美味」と「ギリギリ」を元に戻します。ここで重要なポイントは以下の3つ。
・定位置を決めること
・中身が全部が見えるような容器をつかうこと
・めいっぱい詰め込まないこと(6~7割収納)
 
 最初の二つはどちらもリバウンド防止の工夫です。こうすることで冷蔵庫の奥の見えない所に食材が追いやられるのを防ぐとともに、必要なものを簡単に見つけることができます。そんなこと言われなくても!と思った方、お家の冷蔵庫を覗いてみてください。いつも同じ場所に同じものを置いていますか?期限切れの調味料が隠れていませんか?野菜室が混沌としてませんか?

 三つ目は省エネの工夫、ではなくて、冷蔵庫に対するイメージを変えて欲しいこと。冷蔵庫は食材をしまうためにあるのではなく、使うための一時保管場所である、という考え方です。これはなかなかに目からウロコです。『食材にとって冷蔵庫は家ではなくホテルです』という先生。家だと何年も何十年も住むことになりますが、ホテルは何泊かしたらチェックアウトしますよね。冷蔵庫に長居している食材、それは、ゴミかもしれません。そうならないように、早く気づいてあげましょう。



さて、冷蔵庫が終わった後は身の回りの物を整理しますよ。


■利き脳片づけ術って何?
  自分の脳の違いで収納法が変わるってどういうこと?という後半戦の山場ですが、この記事を読んでいる方は、ご自身の利き脳がどっちかは「利き脳」で検索してみてください。人間の脳はinput(情報が入る) / output(情報を処理する)のそれぞれで右脳タイプ・左脳タイプがあり、以下のように4つに分けられるそうです。


input   output
--------------
左脳   左脳
左脳   右脳
右脳   右脳
右脳   左脳 


そして、そのそれぞれのタイプと得意とする収納法は、以下の通りだそうです!
【左左タイプ】
 真面目でコツコツ。合理性、機能性重視。計画性あり。
 ⇒ 見た目より効率/細かく仕切る/用途別収納
【左右タイプ】
 マイルール重視。個性的。情報収集、学びが好き。
 ⇒ マイルールを作る/適正量を決める/吊り下げ収納大好き
【右右タイプ】
 感性が鋭い。豊かな表現力。熱しやすく冷めやすい。
 ⇒ 同じ収納グッズを並べる/半透明のグッズで/ざっくり放り込んでよし
【右左タイプ】
 理想が高い。協調性あり。リーダーシップを取る。
 ⇒ ビジュアル重視/よく使うものは簡単に/徹底した定位置管理



 ちなみに私は最後の右左タイプ。このタイプだけは、収納する前に収納グッズを買ってよいとのこと。はい。収納とは箱を買うところからスタートです。
 
 この利き脳を使った整理を少し体験してみることが、最後のワークショップです。お財布の中のカード類、たくさんありますよね。これを4つに色分けした紙の上に置いてみて、要るもの・要らないものを分けてみます。この時に、それぞれの色には自分の判断基準を「キーワード」として書きます。どういう判断基準かは、利き脳の分類に従ってみましょう。



 証明書・診察券・ポイントカードという分け方でもよいでしょうし、「普段使うもの」「月1で使うもの」「全く使わないもの」という分類でもよいのです。自分のスタイルにあった分類をすることが継続性に繋がります。
 
 今回はカードの仕分けをしましたが、例えば洋服では、「会社用」「私服」といった用途で分ける方がよい人もいれば、「お気に入り」「キラキラ」といったイメージの方が上手くいく方もいるのだとか。何度言っても家族がちゃんと片付けない!片付けが下手!と不満に思っている方は、自分が思うのとは違う片付け方を伝えることで、円満に解決するかもしれませんよ。



■「まず捨てる」から始めないで


 冒頭に「理想」「価値観」と書きました。ライフオーガナイズで重要なのは、こういう生活をしたいから今片づけているのだ、という、自分なりの理想な生活像を持つことと今回学びました。ですので、「捨てること」や「整理すること」が目的となってはいけないのです。そして、その理想のイメージをより具体的に持つことがポイントだそうです。たとえば「友達を呼べるような部屋にしたい」から一歩踏み込んで、「来週末みんな呼んじゃったから片付けなきゃ」というように、より具体的に自分の生活をイメージすることで、なぜ片づけるかが明確になり、モチベーションの維持にもつながります。


 価値観や目的意識を持って習慣を身につけることで生活の土台ができ、リバウンドをしにくくなるとのこと。なるほど。片づけだけでなく人生のあらゆることに通じる真理のように聞こえてきます。


 始まる前はライフハック的な生活便利情報を学ぶのかと思いましたが、「自分にとっての理想の生活とは何か」という大きな問いがあった今回の授業。確かに色んな整理術は学びましたが、それらは全て、自分らしい心地よい暮らしをするための手段である、という先生のお言葉。いちばん整理できたのは、私たちの心の中かもしれません。



(レポート:小笠原大樹、写真:伊藤扶美子)