シブヤ大学

授業レポート

2016/1/21 UP

「健康なまちづくり」を考える
〜地域コミュニティのなかでお医者さんと一緒にできること〜

健康な地域づくりのために、医療者に教育活動を行っている坂本文武氏を先生に迎え、医療と地域コミュニティをテーマに、西武渋谷店でThink Collegeが開催されました。


患者一人ひとりの生活背景を考えながら、不調や疾病の殆どを診る事が出来る医者を「ジェネラリスト」と呼び、そんななんでも診られるドクターを育成し地域社会に広めたい…
多くの人は一つではなく複数の病を抱えていて、65歳以上では平均4つ。一人当たり年13.1回の通院。患者の6割は長く病とつきあっていく必要のある慢性疾患。社会起因、働き方や家族構成の変化などで、医療ニーズも多様化しています。
日本にはスペシャリスト(専門医)が多く、専門外は別の医者というのでは真のパートナーにはなれない。これらの事がジェネラリストが増えて欲しいという理由に挙げられていました。


「健康なまち」をつくっていくために、ドクターの考え方や患者との関わり方を変える事。後半は、実際に活動をされている教育事業の一部を紹介して頂きました。


プライマリ・ケア学科は、ちょっとした健康上のケアから、地域への繋がり方、サポート。コミュニティ・ヘルスケア・リーダーシップ(CHL)学科では、地域で支え合う仕組みを発想。医療者自身が医療や態度を見直し、これからのやり方を変える複眼的な視点。
医者の価値観が独善的だったかもしれないと自分で気づくように、ケースメソッドの議論やマイプロジェクトの実践を行っているそうです。


欧米ではジェエラリストが30%に対して、日本ではまだ3%しかいないそうです。将来的には新専門医制度が変更され、総合治療が19番目の基本領域として位置づけられます。総合診療をしたいという関心のある医学生も2割~3割いて、今後必然的に増えていきますが、その先の、生活の背景を考えるドクター、家族を丸ごと診てあげられるドクターが増えて欲しい。


坂本氏の教育事業はまだ始まったばかりです。
地域コミュニティを意識する医療者が増え、いつでも相談出来る医者がいれば、個人にとっても住みやすい街になる。
「名医」よりも「良医」を増やしたいという言葉が印象に残りました。



(レポート:田中健太)