シブヤ大学

授業レポート

2015/10/19 UP

「遠いスウェーデンを思い、地産地消を考えてみる」
(SKA VI FIKA? JA! ~みんなで楽しむ身近な地産地消~)

 


雨の降る10 月 17 日、土曜日。 代々木上原駅からほど近い、上原社会教育館の調理室で、シブヤ大学の「世界を食べるゼミ」のゼミ生の皆さんが企画した、SKA VI FIKA? JA ! ~ みんなで楽しむ身近な地産地消 ~ の授業が開催されました。

 SKA VI FIKA?(スカヴィフィーカ)とは、お茶にしない? という意味。 それを受けての JA!(ヤー) は、もちろん!という回答。 その通りに、授業はコーヒー、紅茶とシナモンロールを頂きながら進められていきました。 本授業では、スウェーデンへの留学経験のある関口愛さん、日本へ留学し、現在日本に滞在中のスウェーデンからやってきたアダムさんを先生にお招きし、スウェーデン料理作りを体験しながら、スウェーデンの文化、食材選びなどへの質疑応答を通し、地消地消の捉え方を学びました。




まずは、スウェーデンってどんな国? のディスカッションからスタート。 やはり、IKEA、H&M のイメージという声がたくさん挙っていました。 それ以外では、車のVOLVO、スウェーデンの少女が主人公の長靴下のピッピという絵本が有名だそうです。

スウェーデンでは、季節や暦と食べ物を結びつけて、みんながそれを大事に迎えます。 例えば、10月はシナモンロールの記念月だそうです。 その他にも食べ物の記念月があり、日本人からすると、おもしろい捉え方だなぁと思いながら、また同時に食文化を繋げていく役割を担っているんだろうなぁ、と感じました。

さて、授業のテーマである地産地消について、どのようなイメージを持っていますか? 日本では何となく堅く、難しいイメージがあるという人も多いかもしれませんが、スウェーデンでの捉え方はシンプル。 つまりは、庭の野菜をとって、山にベリーを摘みに行って、食事やお菓子を作る、そういったイメージです。

また、食材選びの感覚もスウェーデン独特のものがあります。 スウェーデンにはKRAV という、オーガニック認証制度があります。 認証されているものと認証のないものと値段を比較すると、数倍の差が生じることもあるようですが、スーパーで食材を購入する際は、多くの人が認証品を購入するようです。 スウェーデンでは、食材の由来まで大事にしていることの表れかと思います。 また、スウェーデンは税金が高く、そのため医療費などへの出費が低く抑えられるという実情があるため、何にお金をかけるか、という感覚が日本とは大きく異なるのでは、という関口さんのお話に、なるほど、という声が上がりました。





スウェーデンという国や、食文化に対するイメージを整理したところで、調理実習が始まりました。 調理するメニューは、キノコのキッシュ、ミートボール、リンゴのクランブルパイ。 スウェーデンの地産地消になぞらえて、旬の食材を使ったお料理をイメージしてのメニュー構成です。 先生の関口さんが、工程毎に作業を見せてくれ、その後各班でその作業を実施する、というスタイルで調理は進みました。  いずれのメニューも、難しい工程は無く、またスーパーで手に入る国産の食材を使ってすぐに家でも作ることができそうでした。




全班の調理終了を待って、食事となりました。 皆さんで調理したメニューとあわせて、世界を食べるゼミ生たちが「季節のサラダ」と「かぼちゃのポタージュ」をつくってくれていました。また、ミートボールにはコケモモのジャムとマッシュポテトが、リンゴのパイには冷たいバニラアイスが添えられました。 調理時には、使用するバターや生クリームの量の多さに驚きましたが、食べてみると、それほど重たくはありませんでした。 少し驚いたのが、キッシュの塩っ気の強みです。 入れる量を間違えてしまったのかな? と思うくらいだったのですが、アダムさんによると、スウェーデンでははっきりした味が好まれるので、このくらいが普通とのことでした。



授業の最後は、本授業のタイトル、SKA VI FIKA? のコールに、JA ! のレスポンスで記念撮影。参加された皆さんがお土産のレシピを手に帰る頃には、朝降っていた雨も止んでいました。

この授業の後、レシピを元に復習したり、次にシナモンロールを食べたり、IKEA に行ったりするときに、本授業のテーマの地産地消についてや、スウェーデンのことを思い浮かべてくれたら嬉しいです。




(レポート:伊東詩織 / 写真:野原邦彦)