シブヤ大学

授業レポート

2015/7/1 UP

自分で縫い上げる~この夏の浴衣づくり(第三回)

【わたしの「まなび」】


 「和裁って面白い!そして奥深い!!」


今まであまり触れる機会がなかった和裁の世界。そこにはたくさんの驚きと発見がありました。


浴衣は一見すると単純明快な構造でできているようで、その細部を見てみると実に丁寧に考えてつくられているのかがわかります。日本古来の文化の奥深さを改めて知りました。


 


【先生の「ことば」】


 「着物には色々な楽しみがある」


ただ浴衣をつくるだけでなく、浴衣にはどんな帯を合わせよう、何か小物で遊んでみても面白いかな...など1枚の浴衣を中心にわくわくする世界が広がっています。意外な組み合わせが生む化学変化も見逃せません!


 「完成はしなくても、なんとか全体が分かるくらいまで仕上がってよかったです」


反物からスタートして、たったの3回でここまで仕上げることは並大抵のことではありません。生徒さんの熱意と努力、そして先生方の強力なサポートの賜物だと思います。皆さん本当にお疲れさまでした!


 


【授業レポート】


季節は梅雨本番ですが、梅雨が明けたら花火大会や夏祭りなど、浴衣が大活躍の季節がやってきますね。


そんな時期を前に、自分で浴衣を縫いあげる浴衣づくりの授業も今回で最終回となりました。


和裁士のタミカ先生とサポート役のあや先生に加えて、昨年参加の卒業生も強力な助っ人で加わって下さいました。


第一回、第二回の授業で浴衣の各部分を縫ってきましたが、いよいよ身ごろ(本体)に衿や袖をつけて、浴衣の全体像が見えるようにするのが今回の目標です。


・衿つけ


衿は首まわりに沿って曲がっている部分なので、細かく測って印をつけながら、必要な場所には返し縫いや力布という補強をしながら、丁寧に身ごろにつけていきます。そして、共衿もつけたあとに内側をくけて(縫い目が表に見えないように縫う)完成させます。


この作業、縫う位置の正確さなど様々な点に注意しながら縫わなくてはいけない難しさがあり、皆さん少し苦戦されていました。でも、苦労を共にする生徒さん同士で声をかけ合い、助け合いながら、真剣に手を動かされていました。


そんな熱心な生徒さん達を先生方も細かくサポートしてくださいました。


身ごろに衿が大体ついてきた所でひと休み。


ひと目ひと目集中して縫っていると時間がたつのもあっという間です。


・袖つけ


長かった道のりもいよいよゴールが見えてきました。最後に残った袖を身ごろにつけていきます。

男女の浴衣の大きな違いとして、男物は脇の下も袖の内側も縫い閉じてしまいますが、女物は脇の下に「身八つ口」という開きがあり、袖の内側も開けたままになっています。これは女性が着物の気崩れを防いだり、直したりするための大切なしくみです。


衿がつき、袖がつくと自分の浴衣の全体像が見えてきます。


時間がきてしまったため、今回の授業はここまでで一旦区切りとなりました。今後も浴衣が完成するまでは先生がきちんとフォローして下さるので安心です。


全3回という日程はかなりの強行スケジュールでしたので、浴衣を完成させることはできませんでしたが、反物から始まってやっと形になってきた浴衣を見て、皆さん本当に嬉しそうでした。


当初は慣れない和裁の世界に戸惑うことも多かったかもしれませんが、回を重ねるにつれて、少しずつ技術を身につけられ着物について学ばれた結果、一人一人が個性豊かな浴衣を作られていました。


ミシンを使わず、ひと目ずつ生徒さんの手で縫われた浴衣にはたくさんの愛情がこもっていて、手作りの良さを改めて感じました。


また、同じものを一緒に作ることで生まれる一体感もこの授業では強く感じることができました。


もの作りの楽しさと奥深さがギュッとつまった授業でした。

(レポート:木村芙佐子)