シブヤ大学

授業レポート

2007/6/21 UP

「男と女は脳の作りが元々異なっている。」

いまこうやって、文章を読んで、物事を考えるとき、他人はどう考えているのかを意識する人はどれくらいいるでしょうか。特に、男性と女性のものの考え方の違いについて。よく異性のすれ違いは日常につきものです。しかしなぜ、そんなことが起こるのでしょう。ものの考え方ではなく、その考え方を生み出す脳の仕組み、という視点から考え方のすれチガイ学んだ授業です。ちょっと、難しい脳の話になりますがお付き合いください。

授業形式はパワーポイントをスライドで画面に投影し、脳の仕組みについて、松本先生が説明をしていくというものでした。
その中で、興味深かったのは、脳にも男性ホルモンと女性ホルモンの分泌が関係しているということ。生殖器以外(感情や感覚)に、脳にも「性差」があったのをご存知でしたか?つまり、考える脳の仕組み自体に、若干の違いがあるそうなのです。

例えば、数学の問題を何問か解くときに、男性の脳は左側を使い、女性は右と左の両方の脳を使ってという実験結果があるそうです。また、悲しみの感情のときは、女性は、脳を細胞をたくさん使い、男性はあまり使われていないということがわかっているそうです。
この男女の脳の使い方に違いがあるのは、右脳と左脳をつなぐ「脳梁(のうりょう)」という神経のつくりが異なるため。女性の方が、男性よりの脳梁が大きいのです。
というのもこの脳梁は、ホルモンによる刺激によって変化するもので、女性の場合は、生殖腺刺激ホルモンの周期的分泌が月経周期の基礎であるため、生まれたときからのホルモン分泌によって脳梁が形成されるようです。だから女性の方が生まれつき脳梁が大きく、左脳と右脳を使う人が多いそうです。

ただ、このことは「3歳までの環境」によって大きく変化するらしいとのこと。つまり、生まれてからの環境が脳の仕組みをつくるというわけです。今までの研究では、染色体やDNAなどの脳の仕組みが決められると思われていたのですが、どうやら、生まれる・生まれたときの周囲の状況によって、その人の脳の仕組みが変わってしまうそう。
ですから、男性であるが女性らしかったり、女性であるが男性ぽかったり、というのは脳の仕組みからきているものであり、決して異常なことではないそうです。男性にも、脳梁が大きい人もいます。
ですからこの研究が判明した1991年には、アメリカでいままで迫害されていたゲイの存在が社会に認められるようになったと言います。脳のメカニズムの検証が社会的にも影響を与えていることを知りました。
ここから、性同一障害などのメカニズムも研究されているようですが、まだまだわからないことばかりだそう。先天的なホルモンバランスの違いで、おてんばな女の子になったり、成人になってから性転換するケースがあるようです。

で、実際の生活の中でのコミュニケーションのずれはどういうときに起こるのかに関しては、今回の授業ではありませんでした。そこが生徒さんの授業に対する期待と違ったところかな、と思いました。ただ、普段考えない脳について脳みそを使った授業だったと感じました。
この授業で学んだのは「もともとの脳のつくりが違うから、男女のすれチガイはしょうがない」と理解しておけば、ちょっとしたことでも異性を許せるのでは、ということ。
※SMAPのセロリにもそんな歌詞があったような・・・。

最後に、質問コーナーで、
「男女が、すれ違わないためにはどうすればいいですか?」と生徒さんの質問が。

先生、
「努力です」

一同爆笑。

さすがに、コミュニケーションまでは脳分野からは解析できない様子。
まぁ、それができたら、失恋やら離婚はとっくの昔に無くなってますよね。
みなさんも、脳の仕組みを把握してから、普段のコミュニケーションに気をつけてみてください。

(ボランティアスタッフ 鈴木高祥)