シブヤ大学

授業レポート

2015/1/9 UP

最近、文字書いてる?
~皆で筆書き年賀状をつくろう!~

【私のまなび】
1. 普段自分がなにも考えずに文字を書いていたこと
2. 文字は書く時の気持ちに応えてくれること
3. 文字って自由なものでどんなふうに書いてもいいんだということ

今回の授業は若手女性書道家の関澤春佳さんを先生にお招きし、筆ペンや様々アイテムを使って今年の年賀状をつくりました。

最近文字書いてる?
と題されたこの授業ですが、皆さんはどうでしょうか。文字書いていますか?
思い返すとわたしは最近文字を書いていない気がします。
たしかにパソコンに向かいキーボードを叩いて文字を書くことはそれなりにありますが、ペンを手に持ち紙に向かって文字を書く機会はそれほど多くないような気がするのです。よしんば文字を書くことがあったとしても、それはメモ書きのようなもので、一字一字丁寧に書くなんていう機会はほとんど無いような気がします。そんな活字離れ現在進行中のわたしにとって、実は最近文字を書くことが少し苦手なものになりつつありました。

しかし、今回の授業「皆で筆書き年賀状をつくろう!」は、
綺麗な字を書く練習をしようという授業ではなく、文字に想いを込めて、文字をもっと楽しく書いてみようというものでした。
上手い・下手でなく、楽しく書くか、書かないか。筆ペンだけでなく和紙やシールなど、様々なアイテムを使って自由に年賀状をつくることで、文字を書くことの楽しさを取り戻せた気がします。

■まずは自分の名前を書いてみよう
年賀状を書く前に、まず皆で自分の名前を筆ペンで書いてみました。やはり書き慣れた自分の名前だけに、皆さんスルスルと書いていました。
次に、今書いた自分の名前をさっきより気持ちを落ち着かせて書いてみました。深呼吸をして、一字一字を丁寧に落ち着いて書く。ただそれだけです。
するとどうでしょう。最初に書いた文字と、どこか文字が違ってきているのです。
学校の習字の授業で習ったときのような、止めや払いなどのテクニックではなく、落ち着いて、しっかり書こうという意識をもって字を書く。それだけで文字が変わってきたのです。

■贈る相手を想って年賀状を書いてみよう
自分の名前を書いて指先を温めたところで、次は早速年賀状を書きました。
しかし、ただ単に「明けましておめでとうございます」と書くのではなく、「誰に宛てて書くか」という贈る相手のことを思い浮かべて年賀状を書いてみることになりました。皆さん友達だったり恩師であったり上司であったり親戚のお子さんであったり、いろいろな人のことを思い浮かべて筆を握っていました。
皆さんの作る年賀状はどれも個性的で、和紙を千切ってみたりシールを貼ってみたり羊の絵を筆ペンで書いてみたり、贈る相手が見えてくるような素敵な年賀状を作っていました。
■文字には書き手の思いが映る
私がこの授業を通して思ったことは、文字には書く人の思いが映るということです。
ただ無意識に文字を書いた時よりも、ほんの少し集中して気持ちを落ち着かせて書く。それだけで文字はそれに応えてくれました。
贈る相手を思い浮かべて筆を取る。それだけでそこに個性や温かみが生まれていました。
年賀状はだれかに贈るものです。たしかにそこに書かれている文字は綺麗で整った方が良いんだと思います。
でも、綺麗で整った字じゃなくても、そこに気持ちが映っていればそれは貰って嬉しい年賀状になるんじゃないかと、私は思いました。


最近では、手書きで書いた文字を最後はパソコンで清書したり、思い返せば自分の手書き文字が誰かの手に渡ることってそんなに多くない気がするのですが、手書きだからこそ伝わるものもたしかにあるんだと思います。
そして何よりも、自分の手で文字を自由に書くことってとても楽しいことだと、そう思いました。

(写真:ボランティアスタッフ 野原邦彦、レポート:ボランティアスタッフ 春日拓也)