シブヤ大学

授業レポート

2015/1/7 UP

音をつくる。~世界は音楽です~

【私の学び】


・楽器が弾けなくても音楽は創作できる。
・身の回りの音、雑音であっても分析する事で貴重な素音となる。
 すなわち、聴いているつもりでも、聴こえていない身の回りの音(意見、Voice)は沢山ある。
 音楽を創るには身の回りの音を丁寧に聴く事が基本となる。
・サンプリング音源の録音では、段取りや集中力が必要。
・先生は受講生の狙いや意見を聞いたうえで、物語や映像を連想しながら、音楽を組み上げており、
 音楽の背景やバックストーリーを作ることも音楽の醍醐味であることに気が付いた。


【先生のことば】


・音楽は自由で、型にはまらないのが楽しい。
・楽器が弾けなくても音楽は創作できる。PCとマイクがあれば、「自由」な発想で、音楽は創れる。
・場所を選ばず、時空を超えることができる。
・どんな音でも音楽の素材(素音)になる。


今回の先生は、感性を大切にするサウンドアーティスト、並木大典さん。

1.サンプリングの歴史:
音楽の製作においてサンプリングが行われたのは1960年代のジャマイカのレゲエでした。エンジニアが、ボーカルやドラムの音をダブ処理=重ねる手法が取られていたそうです。また、サンプリングは、ヒップホップという音楽を発展させる原動力となりました。
1980年代には、テクノロジーが進化し、チューニングが複雑でなく、従前より安価に購入できる電子楽器(サンプラー)が登場し、裾野が広がりました。楽器の演奏を伴わないので、色々な人が音楽づくりを楽しめる環境になったとの事です。

2.講師の作品を試聴:
このパートでは、先生が作られた作品を拝聴しました。
1曲目は、チェンマイのHIV感染孤児のための生活施設「バーンロムサイ」の紹介映像用につくった曲。現地で録音した、人の声、鐘の音、壊れた楽器の音、象の鳴き声など、身の回りの音を一つ、一つ採取し、まとめ上げ、素敵な音楽に仕上がっていました。
2曲目。「secai」という先生自身のプロジェクトの楽曲。即興性を重視し、作曲理論にとらわれない制作の模様は"実験"のよう。意図しなかったメロディーや偶然性で出来る自由な音楽のすばらしさに私も魅了されました。

3.時空を超える音楽:
1990年代は、テクノロジーとコンピューター可能性が大きく広がった時代でもあります。それに伴い、サンプリングが楽曲に入っていることが自然となり、現場のレコーダーで音を拾い、コンピューターで加工することが一部のミュージシャンのモノではなくなりました。現在では、ノートPCとマイクがあれば、場所を選ばず曲が出来ます。
また、北米エスキモーとアフリカの音だったり、子どもの頃の自分の声と現在の自分の声をミックスしたりと、まさに時空を超えることができます。

4.作曲プロセスについて:
具体的な手順としては、録音⇒加工⇒音階化⇒シークエンス⇒各トラックのミックス⇒マスタリング(イコライジング、高域、低域の調整)となります。コンピューター1台があれば、それらのプロセスが簡単となります。

5.録音について:
今回の音づくりの講座は、楽器を演奏する音楽ではなく、受講者が、教室近くの音を任意で採取(録音)し、並木先生がコンピューターで加工し、一つの楽曲とするものでした。
音の採取ではコツがあり、音量が大きい音、余分な音を排除しながら録音することが重要でした。

6.テーマ「愛」:
今回、授業内で制作する音楽のテーマは「愛」。その「愛」の解釈は自由。各自の解釈で好きな音を録音するということで、受講生が2名1組でコミュニケーションをとりつつ音を採取していました。
採取していた音の例を挙げると、傘を開く音、ドアを開くときの音、子供の声、走っている音、お金を落とした音、ビールをコップに注ぐ音等、日常の音でした。
先生は、音楽を構築しながら、音楽の背景やストーリーも組み上げていました。

そうして出来上がった音楽が↓です。

最初は身の回りの音だったものが、作品になり、教室がエクスタシスで一杯になりました。


最後に、恵比寿社会教育館の皆様のおかげも大きく、良い講座を設営することができました。
大変ありがとうございます。


(写真:ボランティアスタッフ 中野恵里香、レポート:ボランティアスタッフ 池田 修一)