シブヤ大学

授業レポート

2014/12/5 UP

暮らしの中の聞こえづらさを考える

【私の「まなび」】
①聞こえづらさに多様性があること
②周りの人にできることが、意外とたくさんあること


【授業の全体レポート】

“聞こえづらさのリアル”

今回の授業は、
聴覚、視覚障害当事者と映像製作者たちの間をつなぐような活動をしている
NPO法人メディア・アクセス・サポートセンター(MASC)の蒔苗さんと、
MASCメンバーでもある難聴の大学生 西山萌さんの
お二人を先生に迎えての授業でした。

いつもは、「社会問題の解決に取り組む方」がお話するこの場所で、
ご本人が当事者であり、
また解決に取り組む方である西山さんのお話が聞けることは
非常にリアルで新鮮な心持ちがしました。

お二人のお話を聞いていて
まず最初に驚いたのは、「聞こえづらさの多様性」です。
「聞こえづらさ」は以下のように分けられるようです。

①伝音性難聴…大きな音だと聞こえる
②感音性難聴…聞こえる音にノイズ・ひずみ・歪みなどがあり、内容がわからない(高齢者に多い)
③混合性難聴…上記二つの混合型

お話を聞くまで私の中では、
①のものだけを指して「難聴」だという認識でした。
きっと②の種類ですと、やたら大きな声をだしても、理解しあえないということです。
今まで、失礼なことをしてしまったこともあるかもしれない…
と考えてしまいました。

そしてなんと、さらに驚くべきなのは
聴力は
30歳から衰え、
50歳で聞き取りづらくなり、
70歳には二人に一人はなんらかの難聴に…
と言われているそうです。


また、海外よりも重度の難聴レベルでないと、障害者手帳を取得できないのが
今の日本の現状だということ…
なんだか、思ったより身近で、思ったより厳しいのですね。。


おおまかな現状を知ったうえ、
当事者である西山さんのリアルなお話を聞いたあと、
グループに分かれてワークショップをしました。

「聞こえづらさ」を持つ人の一日を想像し、以下の3項目で分類していくワークショップです。

① 聞こえづらい人が日常生活で困ることはなんだろう
② その解決のために何ができるだろう
③ 2で出た解決法を「自分でできること」「周りの人にお願いすること」に仕分ける


自分ごとだと思ってリアルに生活を想像すると
「電車ではどうだろう」「会社や学校ではどうだろう」と
普段は気づかないことにも不便さをいろいろ感じました。


そしてその解決策として、スマホアプリなどの技術や補聴器の発達で
自分が思っていたより便利になっていることも知りましたが、
私たちがしてあげられることの多さにも気がつくことができました。


結局、対峙している相手のことを想像し、思いやることが大事なんだなぁと。


最後に、バリアフリー映画を体験しました。
音声が聞こえない映画は状況把握がとっても難しく、
発話した人の名前が出たりするバリアフリー字幕がある映画は、非常にわかりやすい!

これも「大切な人と映画を見たい」、そんな優しい思いから生まれた活動だと感じました。


「聞こえづらさ」を抱えている大切な人との時間は、
きっと少しの思いやりで、もっと素敵な時間になる!
とワクワクする授業でした。

(ボランティアスタッフ:渡邉祥子)