シブヤ大学

授業レポート

2014/10/20 UP

「渋谷の大改造計画に潜入」
~何も止めずに解体せよ!~ 1

 「渋谷の大改造計画に潜入」~何も止めずに解体せよ!~ 授業レポート

                                                   記:五十嵐 唯

教室の扉を開けると、入り口にてヘルメットを装着。
会場までの道も何やらほの暗い…。

そう、なんと今回の教室は、東急百貨店東横店東館の解体工事現場でした。

今回の授業は、2027年を目指して大きく変わろうとしている渋谷駅の歴史や未来を座学で学び、
その後解体現場を見学して現在を体感するという授業。

先生には東京急行電鉄㈱ 東急百貨店東横店解体工事事務所 所長の永持さんをお迎えして、
何とも珍しい授業のはじまりです。


"日本一難しい工事"

まずは前半の座学パート。

実は現在解体工事を行っている渋谷駅、
何とも複雑な構造をしているそうなんです。

どのくらい複雑かというとJR山手線、埼京線は東館のすぐ隣中央館の真下、メトロ銀座線は建物の中です。
渋谷駅の東西を結ぶ連絡通路が2本、さらに地下には渋谷川が流れているんですね。

この3路線2通路1河川を"一切止めずに"解体するという工事が、慎重に丁寧に順序だてて進められているそうです。


「これはおそらく日本で一番難しい工事です。」


こうおっしゃる永持さん。
実際に現在銀座線が走っている建物は、銀座線が走っているよりも上の階だけを壊す、
という工事も銀座線を止めずに行っている最中です。

現在は8路線が通り、一日約300万人の人々が行き交う渋谷駅。
その流れを全く遮らずに行う工事。
たしかに、これ以上ないほど難しい工事であることが想像できます。

永持さんたちのミッションは、
「工事そのものも楽しみながら、5年後、10年後の渋谷を創造し、
 渋谷に関わる人々が、より渋谷を好きになること。」


工事が終了した際には、ヒカリエよりも高いビルが建ったりして、
渋谷駅周辺が今よりももっとかっこよく、便利になるそうです。


「東京オリンピックでは、世界のお客様をかっこいい形でお迎えしたい。」


というお話もお聞きしました。完成が今からとても楽しみです。

東急東横線渋谷駅ができたのは何と今から87年も前の昭和2年(1927年)のこと。
長い長い渋谷駅の歴史に、今まさに新しいページが増えようとしているのだと考えると、とても感慨深いですね。


"もう二度と誰も来ることができない場所"

さて解体現場にて渋谷駅の歴史を学び、
いよいよ次は、まもなく解体されてなくなってしまう
東急百貨店東横店の解体現場の見学です。

まずは8階分の階段を上り、解体現場の屋上部分に着きました。
お天気にも恵まれ、見上げれば青い空にオレンジのクレーンが凛々しくそびえたっていました。
スクランブル交差点もばっちり見えます。

ここでは、なんと東急東横線旧渋谷駅の線路は未来に引き継がれるというお話を聞きました。

2013年3月16日、惜しまれながらもその役目を終えた東急東横線旧渋谷駅。

なんとその地上にあった旧渋谷駅で使用していた線路の一部は、
2020年頃完成するビルとビルを結ぶ橋の一部になるのだそうです。

私も1人の東急東横線ユーザーとして、
旧渋谷駅がなくなってしまうと聞いたとき、非常に寂しい気持ちになったのですが、
しっかりと未来に引き継がれるというお話を聞き、なんだか胸が熱くなりました。

その後も、現在銀座線が走っている真上や、地下の運搬用トロッコなど、
もう二度と行くことが出来ない場所を見せていただいて
参加者の方々の顔も非常に満足そうだったのが印象的です。

ある参加者の方は
「数年後渋谷が新しくなっても、きっと今このような場所があったことを忘れない。
歴史を大切にしながら、ずっと変わっていく渋谷を見ていたい。」

このようにおっしゃっていました。

まさに渋谷の過去・現在・未来を肌で感じることができた今回の授業。
最後に永持さんのこのような言葉で締めくくられました。

 「今日はみなさんに3つのことを感じてほしいと思っておりました。
 まずは、この場所はこれから解体してしまうので、 
 もう二度と行くことができないこの場所に行くことができたという思い出。
 そしてこれは将来のための工事なので、新しくかっこよくなる渋谷を楽しみにしてほしいということ。
 最後に、実はこの工事現場、ヒカリエからもよく見えます。
 まさに今、この変化している渋谷を見て、感じて、楽しんでほしいということです。
 今日はありがとうございました。」