シブヤ大学

授業レポート

2013/7/10 UP

生き方から美しい人へ。 ~"思いやり"から始まる新しいチャリティを創る~

「JOICFP」ずっと気になっていました。きっと同じ気持ちの方も多いかと思います。この授業は西武渋谷店のサンイデー教室に国内外を問わずさまざまなカタチで活動されているJOICFP(ジョイセフ)の代表理事 石井澄江さんをお迎えして、思いやり・絆・ご縁の大切さと「生き方から美しい人へ」についてお話していただきました。



まずはJOICFPの活動について、石井さんにお話しいただきました。

世界では毎日約800人の女性が妊娠・出産が原因で命を落としていて、そのうち99%が途上国の女性です。日本でも病院で出産するのが当たり前になってから、まだ60年弱。ちょっと前まで出産は病院でするものではなく、助産師さんに自宅に来てもらって出産していました。出産は特別なことではないけれど、そのとき何かのトラブルが起こったら?医師のいる病院まで遠かったら?そうなったときは、お産は命がけ。もしかしたらあなたたちはいなかったかもしれないのです。



今の日本ではお母さんがお産で命を落とすことは殆どないけれど、そんな状況がまだ途上国では続いています。アフリカのお母さんは今も死ぬかもしれないという思いを持って出産しているのです。また望まない妊娠や立て続けの出産は女性の身体に大きな負担。これらの状況を改善するために、JOICFPは日本国内・海外(タンザニア・ザンビア・ガーナ・アフガニスタン)で活動しています。



実はJOICFPは「女性を中心」に支援する日本で生まれた民間の国際援助団体NGO法人。戦後の日本が実践してきた家族計画・母子保健の分野での経験やノウハウを途上国に移転してほしいという国際的な要望を受けて1968年に設立、今年で設立45周年。私が生まれるよりも前に発足した大和撫子な団体でした。



● 途上国支援

JOICFPのいろいろあるプロジェクトの中で、一番大きいプロジェクトが途上国支援。

今回は2011年1月からアフリカ南部の内陸部に位置するザンビア共和国(以下ザンビア)の農村部で現地NGOと協働で行っている妊産婦支援についてお聞きしました。交通機関ナシ、医療施設ナシ、ザンビアの中でもかなり不便なエリアの診療所の脇に2台のコンテナでマタニティハウス(出産待機ハウス)を作りました。コンテナ内はリフォームし、妊婦さんの待機部屋とベッド・シャワー・食事などの施設を用意し、居心地のいい環境になっているそうです。



妊婦さんに出産予定日の2週間位前の身体に余裕があるうちにここに来てもらって、陣痛をゆったりと待つ。その期間にママ友もできる、母になるための大事なことを教わる。緊張した心もどんどんほどけていく。はじめての出産でも、何があってもここなら手助けしてくれる助産師さんがいるから安心と、年々この施設で出産するお母さんが増えているそうです。



そして、この施設にくれば、お金は殆どかからないという。

出産に必要な最低限の分娩に必要な備品はJOICFPからの寄贈、このほか日本の企業から協賛を募って、赤ちゃんの産着は「赤ちゃん本舗」より新しい産着を、出産したお母さんの家族には「ユニクロ」よりリサイクルTシャツなどが、「そごう・西武」からはリサイクル子供靴が支援されるそうなのです!



また、マタニティハウスのコンテナ内や外壁のデコレーションはザンビアの現地の人と一緒に作ったそうです。みんなで作ることにより一体感が生まれ、ここに人が集まるようになりコミュニティが生まれる。この施設の存在を認識し、口コミで広まる。これも持続性を意識した試みだそうです。



また、その土地の背景、言葉の問題、習慣など現地の人との間によい信頼関係を築くには専門家は現地人であるべき、という考えから2012年からはこの施設で母子保健促進員の育成を始めたそうです。長年の活動経験から生まれた異文化で持続的に活動していくためのメソッド、柔軟で無駄のない現場に即した手法には関心しっぱなしでした。



● 東日本大震災 被災者支援 for 妊産婦・女性・新生児

海外途上国支援のイメージの強いJOICFPですが、日本国内での活動もされています。

東日本大震災の際は途上国支援でのノウハウを生かし、震災直後から岩手県・宮城県・茨城県・福島県を中心に支援活動を行いました。妊産婦・女性・新生児のニーズにあった新品の物資の提供を企業に呼びかけ、現場の助産師さんたちが機能するよう側面支援(場所・資金確保・機材・運用)という形をとったそうです。こちらは日本助産師会や日本家族計画協会との連携。カウンセラーによる心のケアサポートを重視し、新品を送るという心遣い。義援金は宮城県を中心に2403世帯に5万円をお渡ししたそうです。調整・調達・何が一番大事なのかをしっかり理解したプロジェクトデザイン!!

思いをつなぐ、寄り添う、励ます、といった心に染入る思いやりの活動にとても感動しました。



● GIRL meets GIRL Charity Pinky Ring

最近、もっと楽しく、もっとカッコよく、もっとドキドキできるあたらしいチャリティをはじめたそうです。

世界でさまざまな問題を抱える女の子を、日本の女の子が少しでも救えたらいいな、という思いから生まれたチャリティーピンキーリングプロジェクト。リングは2色仕様になっていて、ひとつの色は自分のため、もうひとつの色は、遠くの女の子のために。このチャリティーは現在「途上国の女の子支援」と「東日本大震災 被災地の女の子支援」の2つあり、リングひとつにつき100円が(公財) JOICFPを通じて、途上国や被災地の女の子の支援活動に使われます。

http://charitypinky.com/jp/



最後に石井さんからのメッセージ

アフリカに限らず、途上国のみんなを友達と思ってもう少し外に目を向けて興味をもってほしい。お互い様の精神で、もう一人の友達のことを思ってほしい。ちょっとだけ意識してみて。こういう気持ちがどんどん伝染していくといいなと思います。日本ではまだチャリティーは一般的ではないけれど、これからは自然なかたちで生活に取り込んでもらえたらと思います。





自分の幸せと、もう一人の友達の幸せを願うピンキーリング、さっそく小指につけて帰りました。



(ボランティアスタッフ:高木 夕子)