シブヤ大学

授業レポート

2012/9/25 UP

渋谷消防署に行こう!

【消防車のサイレンの音が鳴った時、心配するかうるさいと思うか。】

これって人の度量というか、心の広さというかそういうものが瞬時に現れる感情かなと思いました。
実際、消防隊の方が何件先かの火事を消している時に「エンジン音がうるさい」、「救急車の音がうるさい」という言葉を投げかけられることがあるそうです。こう文面で見ると、なんて非常識なんだ!と思うかもしれません。でも言葉にしなくても、ちょっとうるさいなと思うこと、あるんじゃないでしょうか。
現場を解ることですんなり許せることがある。そんなことを自然と学んだ社会見学でした。

今回の先生は渋谷消防署の岡田大隊長。3隊あるうちの1つの部隊の隊長です。
授業では時間をオーバーして喋りすぎないようにと言われていたとおり、きっと職場でも家でもお喋りさんな雰囲気のする気さくな先生。今回の授業で先生をするにあたってのご家族とのやりとりなど交えてなごやかに授業をしてくださいました。


現在全国の各市町村にある消防署本部は計約800か所、常勤で働いている人は約16万人弱、東京消防庁では約1万8千人の職員が東京都を守っているそうです。

現在の東京都の人口は1,300万人超。
しかも昼間の人口は地区によっては20倍という過密都市です。
これだけの人がいると、シブヤの中でも日々いろいろな事が起こります。
よくあることといえば、
1次会が終わる20時頃、飲酒酩酊。
2次会が終わる22時頃、路上で泥酔。
終電が終わる頃、急いで家路へ向かう人が階段を踏み外すetc。。
とのこと。このたびに救急車や消防車が出動していきます。

実際授業中にも、漏水が、火災報知器が、など10分に1回くらいは通報が入ってきました。
通報の概要は全館に放送されるようになっていて、どこにいても瞬時に行動がとれるようになっています。
1分1秒を争う現場へ向かうのに早くいかなければならないけれど、自分の身を守る装備もきちんとしていなければ人を助けられない。着替えをとっても真剣勝負です。
授業では実際どういう装備をするのか、生徒さんを3チームに分けて防火服などの装備の装着競争をしました。チーム内でどうやったら一番早く装備できるか手順を考えてチームの代表各1名が挑戦。初めての挑戦にあたふたしながらも、気合い充分の女性の生徒さんがダントツで装備完了!あとを追う2名もほどなく装備を終えて、みんなすごく頑張って1~2分でした。
そのあとにプロのお手本を見せてもらいましたが、そこはさすがプロ。防火服の装備をするのに40秒、実際は結構重さのあるボンベも軽々と背負ってしまいます。装備を40秒くらいで終え、呼ばれてから出動までわずか1分程度で出場できる態勢になります。

今回先生をしてくださった岡田大隊長も出場してしまいました。(出動とはいわないんですね)途中からは生徒の質問に職員の田中さん、石崎さんが答えてくださいました。

質問の一部ですが、大人の質問ですね。。
・勤務体系(夜勤は大変そうです。基本自炊で、ご飯がまずいと怒られるそうです。)
・出会いってありますか(あるといえばあるそうです)
・入庁3年目までの離職率(約1~2%くらいだそうで。とても少ない印象)
・1人前になるのってどれくらい?(1人前ってないと思うとのこと。日々勉強だそうです。)


大人になってからの社会見学は子供のころの視点+αがあって思わず楽しんでしまいました。自分の今の仕事と比べてどうかな?と考えることができるせいか、気を張り詰めた現場で仕事をしている消防署の方は本当に尊敬です。。

また、現場を知るとすんなりと受け入れられることがありました。
助けてほしいときにちゃんと助けてもらえるように、怪我や火事を起こさないための予防も大事のようです。

さて、渋谷特有の緊急出場といえば、サッカーのA代表の試合の日。とのこと。
どういう通報なのか、想像がつくような気がしますね。
みなさまくれぐれもスクランブル交差点で、スポーツバーで、はしゃぎすぎた結果、、、
岡田大隊長と出くわす。なんてことのないようにお気を付けください(笑)

(ボランティアスタッフ:山田  有希)


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授業全体を通じて、先生である岡田大隊長や、実際に着装や訓練をされていた消防士の方々と触れ合う中で消防署全体から『一体感』を感じることができました。そのことを感想に述べたところ、消防署にいる人達は家族のような存在であり、当り前のことで気にされたことがないとのこと。年間の3分の1を消防署に泊まり、共に食事をし、共に訓練をする。そして、現場で活動されることを考えると当り前になっていくことかもしれません。振り返ってみると、あまり固くならずに消防署に入ることができたのは、受付にいた方とお話をさせていただいた際に、そのような温かさを感じられたからだと思います。

気がつけば、消防士の方々がとても身近な存在に感じられるようになり、授業から帰るころには、現場から戻ってくる消防車に乗る消防士の方々の顔を見て、「お疲れさまです。そして、ありがとうございました。」と心の中で言うようになっていました。

(ボランティアスタッフ:野原  邦彦)