シブヤ大学

授業レポート

2012/9/18 UP

やってみよう!金継ぎ !

 シブヤ大学初の3回連続講座に集まったのは、
授業コーディネーターを除けば先生も生徒も全員が女性!
まるで女子会のような(?)授業が始まりました。
最近、注目を浴びる金継ぎですが、その手法はいろいろ。
漆や金の代用品で行なう手軽な“なんちゃって金継ぎ”もある中、ここでは本漆や金(あるいは銀)を使った日本古来の「金継ぎ」を学びます。

 割れてしまった器を金継ぎする手順は、
「接着」(割れた破片を漆で接着させる)、
「錆付け」(縁の欠けや破片の境界線などに漆を埋める)、
「粉蒔き」(継いだ部分に漆を塗り、金粉を蒔く)
の3ステップ。どの段階でも、生漆(なまうるし)に何かを混ぜて目的に即した形状にし、器に乗せていくようです。

 第1回のこの日は、バラバラに割れた破片をつなぎ合わせる「接着」の授業。漆は触れるとかぶれてしまうため、最初に基本の取り扱い方(長袖、ゴム手袋での作業が理想的)を聞いて、実技開始です。
「まずは、コレを生漆に混ぜて麦漆(むぎうるし)を作ります」と先生がうやうやしく取り出したのは、小さな容器に入った白い粉。

「一体、何……?」

と一堂ひるんでしまいましたが……何のことは無い、小麦粉でした。小麦粉に少量の水を足して練り、さらに生漆を加えて乳化させます。滑らかなクリーム状になった麦漆を、接着剤として使うのです。

 先生自ら削り出して作ってくださったヘラに、麦漆を少しずつ乗せる。これを、細かいヤスリで滑らかにした破片の断面に薄く、薄く塗っていく。麦漆が乾かないうちに、破片同士をていねいに圧着させる。さらに、すかさずマスキングテープで固定する!

 ……ふぅ。

麦漆は塗りすぎても少なすぎても接着が甘くなるし、割れ方によってはどこから圧着させていくか考えなければいけません。
初めてであることも手伝って、なかなか神経を使う作業ではありましたが、それだけに楽しい!(そもそも、こうした細かい作業が好きで応募した生徒さんばかりですからね)

 接着させて元通りのシルエットとなった器は、各自持ち帰ってじっくりと乾かします。運搬のため、大きめのプラスチック容器に転がらないように軽く固定。
さらに、水を入れたペットボトルのキャップも入れて密封する。面白いことに、漆は適度な湿度があってこそ乾燥させることができるのだそうです。

……何だか深いぞ。

 無事、箱に収納できたら第一回の授業は終了。第二回および最終回の授業では、この器にさらに手を入れて復元に磨きをかけます。また来月お会いしましょう♪ということで、解散となりました。


(ボランティアスタッフ 松本典子)