シブヤ大学

授業レポート

2012/7/27 UP

障害者フリークライミング日本代表チームを、クライミング世界選手権パリ大会へ

「障害を負うことはマイナスだろうか…」。
昨年度パラクライミング世界大会時に撮影された映像の中で、そう語っていたのは小林幸一郎さん。
今回の授業の先生です。

小林さんはNPO法人モンキーマジックを立ち上げ、全国にフリークライミングの浸透や視覚障害者だけでなく障害者理解や自立支援の活動に奔走しているアスリート。
今年の9月フランスで開催されるパラクライミング世界大会に再び出場し、2連覇を狙います。

冒頭のコメントに続いたのは「…だからこそ、できる経験があると思う」という言葉。
それは小林さんだから分かったこと、言えること。だからとても心に残っています。

授業ではまず、昨年度のパラクライミング世界大会の模様を映像で鑑賞。誰でもそれを楽しめるように、細かな情景を解説する丁寧なナレーションが入れられていました。

そして純粋にクライミングを楽しみ、頂点へ挑戦する小林さんをはじめとする選手の方々に、国籍を超えて会場の観客全員が注目。もちろん映像を通じて、私も夢中になりました。

次に小林さんとチームの方々のお話を伺いました。
大会の様子を撮影し、世界で活躍するアスリートの存在を伝えるTVディレクターの山口さん。
小林さんに的確な指示を出す、コーチの鈴木さん。
次代を繋ぐ頼もしい若手選手のショウくん。
選手を支えるスタッフの方々やご家族の方々、さらに支援の手を差し伸べる方々。

それぞれに役割があって、お互いを支えあっていることがよくわかりました。

ワークショップも行ないました。
まずは言葉を交わさず生徒の皆さん全員で生年月日順に一列に並ぶことに挑戦!
小林さん曰く「一列になるまで非常に時間がかかった」うえに、最後の最後で失敗してしまいましたが、、、とても楽しかったです。
それは、指や相手の目をじいっと見つめることで思いを通じ合わせられたような気がしたからだと思います。

次はお絵描きに挑戦!
目を閉じながら、言葉の指示を頼りに絵を描いていきます。
自分で確認できないため、ちゃんと描けているのかな?という不安が湧きます。
そのようにして描いた絵と、元の写真を見比べてみるとやっぱり所々異なっていたけれど、大体は合っていました。
不安の中でも相手を信頼することで、のびのびと行動することが出来るのかもしれません。

ワークショップを通じて、コミュニケーションの手段はいくらでもあることに気がつきました。
カラダやモノも利用できるし、
ふーっと吐く吐息にも意味を乗せて、何かを伝えられると思います。
ただ、欠かせないのは「客観的な立場になり、相手が求めていることは何かを把握してあげること」
それを小林さんは強く、教えてくれました。

自分はこう思うけど、この人は、あの人はどんなことを思っているだろう?
そういう思いやりを持てれば、ぎゅうぎゅう詰めの満員電車も楽しくなるかもしれません。

そしてこの授業を通じて、私は毎日何に挑戦しているかということを考えました。
ゴミ拾いをしたり、勉強したり、歩いたり。
その中でも、やはり思いを伝えることと、相手の思いを汲み取ることは
いつも考えていたいと思いました。

世界大会に向けて挑戦を続ける小林さんのご活躍を心より願います。
どうもありがとうございました。

小林さんが運営するNPO法人モンキーマジックの活動報告やご支援は

また今回は授業のようすが映像になっております。ぜひご覧下さい。




(インターン 森美咲紀)




わたしは、今回上映された映像のナレーションを作成する段階で
ほんの少しだけアドバイスをしたという立場での参加でした。

他の場所で開催された上映イベントにも参加していますが、
毎回同じ点は、参加者の皆さんがあっという間に小林さんに魅了されるところです。
小林さんのひたむきなクライミングへの情熱と、筋肉質の腕、率直な言葉、そして優しい笑顔。
人気が出るスポーツ選手の条件が揃っているからでしょう。

私自身、視覚障害の人と一緒に映画を観る活動を10年以上続けているので、
視覚障害の人がクライミングをやること自体には驚きはありません。
小林さんたち日本代表選手が、どのような努力をしていて、どんな課題があって、
どういう目標があるのか、という興味ならあります。
それは応援しているスポーツ選手へのごく自然な気持ちです。

この日の参加者の中には、視覚障害の人と接することすら初めての方がいたと思います。
視覚障害の人にクライミングができるのだろうか、そういった方もいたかもしれません。
そういう人達に、小林さん自身がありのままを自分の言葉で伝えること、次は是非小林さんと一緒にクライミングをしてみたいと思ってもらえることが、
ひいては、パラクライミングの支援者を増やすことに繋がることを
小林さんはよくご存知なのだと思います。
そして小林さんは今回同様、毎回各イベントでそれを成功させているように思います。

今回は大会目前という大きな目標もあります。
参加して下さった方々が職場や学校やお友達に広めて寄付が増えることも併せて願わずにいられませんでした。

(ボランティアスタッフ 松田高加子)