シブヤ大学

授業レポート

2012/4/27 UP

「 MONOPURI 」は、モノとプリントの関係性を見直すプロジェクト

マジックタッチジャパンの社長さんでもあり、モノプリ・プロデューサーでもある原さんが、本日の授業の先生です。
第一の会場はa-ギャラリー。モノプリプロジェクトで6つのチームによって制作された商品が並んでいます。なのですが…えっ?私自身、何気なく商品を見ている途中で思い出しました。え…これ、プリント??と。そんな目を疑うようなプロダクトが並び、先生のお話を聞く前から、生徒さんたちも興味津々にそれらを眺めます。

そして授業開始。先生が、マジックタッチジャパンと、モノプリについてお話をはじめます。
マジックタッチジャパンは、大型広告から小物まで、様々なものづくりまで手がける会社。
インクジェットプリントを使った印刷が強みで、ミュージアムグッズの展開なども手がけています。
こちらのインクジェットプリントの技術を応用し、素材問わず印刷をして、売れる商品を開発しよう!というのがモノプリプロジェクトのはじまり。

そもそもモノプリは、「モノ」と「プリント」の関係性を見直すプロジェクト。
プロダクトデザイナー、グラフィックデザイナーなどと、それぞれの役割ごとにタテ割りの関係性になりがちな「ものづくり」と「プリント」の現状に対して、いい「モノ」をつくるために、6組12人が背景も肩書きも関係なく、製品ごとのチームで開発をすすめてきました。
とはいえ開発は試行錯誤の連続。開発中のものもありながらも、すばらしい6つの「モノ」が「プリント」によって誕生しました。

★サングラス(CINDERELLA)
なんと印刷でできているサングラス!通常では透明にならない素材でも、コーティングをすることで透明になるという発見から生まれた、サングラスという発想。とてもカラフルでオシャレな製品は、DJの方などに人気が出るのでは…と評判。名前は、メガネをかけてちがう自分になれる、という意味をこめてつけられたそう。

★ネイル(SOMENAIL)
そしてネイル!爪です。市販のネイルチップですが、こちらに印刷を施してあります。つまりもちろん落ちません!ネイルといえば五本指と思われがちですが、ピースサインができる二本指のネイルも。普通のネイルでは実現できない、細かい線や文字も実現。柄はイラストレーターさんとのコラボ。とってもかわいくて女性に人気でした。

★羽根ペン(Phoenix)
次々と想像の上を行く発想。羽根ペンです。まさか羽根に印刷がのるか?とさすがに先生も無理ではないかと思ったそうですが、実際にできてしまったとのこと。こちらも模様がたくさんあって楽しい。これを普段使いしてたら職場でモテそう、という声も聞かれました。ボールペン芯にも細かいプリントが。

★ピンバッチ(ゑびすさん)
こちらも、実は驚きの発想から生まれています。印刷によってできるインクの盛り上がりから着想し、これを同じ所に何度も印刷すれば印刷される文字に厚みがでるのでは…という試みで生まれた手法。文字や絵柄を何度もプリントすることで表面がふくらんでみえる不思議なピンバッチ。アイディアに生徒さんも感激していました。

★指輪(風景の指輪)
写真をプロダクトに落とし込めるか?という模索の中で生まれたもの。7枚の写真を切り取って、陶器に印刷した指輪。風景の一部を身につけるという新しさ。ついつい覗きこんでしまう、世界に吸い込まれそうになる生徒さんも。

★バッグ(PANAMA)
メッシュがかったようなバッグ。やはりこちらも印刷でできているとは思えません。メッシュのような素材の両面に違う模様が印刷されています。通常広告など情報が裏面から透けて見えづらいようなものでは使えない両面印刷をあえて使うことで、すかして楽しめるという工夫も。

それぞれの製品についての説明もふまえ、この日の生徒さんの一番人気は………羽根ペンと、ピンバッチでした!

これらの素晴らしい展示物たちは、今回、恵比寿の街の中にあるサテライト会場6ヶ所で試験的に展示販売されていました。これは、一ヶ所にかためて商品を見せるのではなく、6会場まわってもらうことで恵比寿という街もみてもらえるように、というのが目的。タテ割りの関係を見なおそう、という発想とも通じていますね。

そしてお昼休憩は、何店舗か、原先生や授業コーディネーターのおやびん、それから恵比寿に詳しい生徒さんたちなど、それぞれにおすすめのお店をうかがいつつ。食べたいものごとにそれぞれのお店にみなさんで散って食べることに。ちなみに私はキムチチゲを食べに行きました。贅沢にも、生徒さんおひとりと、先生と3人でごはん!授業外でのお話もゆっくり聞けてとても楽しかったです。ほかの生徒さんも、カフェやハンバーガーなど、それぞれお店もチームでのおしゃべりも堪能した様子!

休憩を経た第二部では、実際にマジックタッチジャパンさんにお邪魔し、インクジェットプリントの機械(UVプリンター)を見学させてもらいました!見せていただいたのは、ミュージアムグッズであるマウスパッドへ、絵をプリンターで印刷する工程。第一部で聞いていた「立体へプリントする」現場です。その他にも、PCの表面や、ガラス、ジーンズ…様々な素材に印刷された過去のお仕事も見せて頂きました。この技術があってこその「モノプリ」なのですね。

そして第二部のさらなる目玉は…みんなで「こんなものできる?」を楽しくも、本気で考える!という時間。
何にプリントして、どういう人に、どういうコンセプトで、どこで売るか?と、しっかりと「商品」にすること。先生やマジックタッチジャパンのスタッフさんに「これは可能?」と質問しながらアイディア出し。これはどうかな?これは無理か…。ブレインストーミングしてから、アイディアをブラッシュアップしていく。この流れはモノプリの縮図?とも思えるくらい、みなさん真剣です。そしてそれぞれの班からでたアイディアを発表し合います。
その6つのアイディアは…①まつげエクステ、②恵比寿にあるお店のエプロン、③水槽、④ボタン、⑤照明器具、⑥ウィッグ!

素材もアイディアも様々です。生徒さんと先生も交えて、どのアイディアが一番面白いか投票。そして、先生やスタッフさんが真剣に出たアイディアに対するフィードバックをしてくれました。
先生とスタッフさんは、中でも⑤の照明器具に興味津々。以前からやってみたいと思っていたそうです。
そして先生から驚きの言葉が。

「試作品を作りましょう」!


というわけでまた新たにプロジェクトが始動しそうです。
みんなで出たアイディアから、どういうものが出来上がるか?ワクワクワクワクの塊。


授業後も、連絡先交換をしたり、おしゃべりしたり。帰るのが惜しい様子の生徒さんたち。その後みなさんでサテライト会場含め街歩きをされたかどうかはさだかではありませんが、モノもつながりもたしかに生まれた、そんな授業でした。

(授業レポート 天野咲耶)