シブヤ大学

授業レポート

2012/2/24 UP

豆本づくり

豆本って、皆さんご存知ですか?
その名の通り、豆のように小さな本のことです。
英語ではミニチュアブックと言われる、指先に乗るかわいらしいサイズの本。
今回の講座は、その豆本を自分で作ってみよう、というものでした。

本は読むもので、作る、いや作れるものだとは今まで考えたことがありませんでした。
まずは、先生のお話を伺います。先生も世界的な豆本コンクールで優勝を重ねた輝かしい経歴をお持ちですが、はじめは文章を書く側から、自作をまとめるために和綴じ本を作成し、そうして豆本を製作するに至ったのだとか。
先生も初心者から始めたんだ、と安心しながら、さっそく製作に取り掛かります。
まずは、表紙と中の紙を選びます。
この段階で、出来上がりの雰囲気がかなり決まってくるのです。

次に、表紙のサイズからページとなる中紙の大きさを決めて、ちょうどいい形に切ります。
ページは綴じられておらず、伸ばすと一枚の紙になる仕組みになっています。
この時に使うのはコンパス。
参加者みんなで「握るのも久しぶり~」と懐かしがりながら、線を引いていきました。

コテを使って紙に折り目をつけてから、三角形の形に丁寧に折っていきます。
正確に線を引いたつもりでも、実際に折ってみると少しずれてしまうもの。
最後に全ての角を合わせて、ピッタリと三角形を揃えます。

次に、表紙の製作に取り掛かります。
使うのは、2mm厚の三角形の芯紙。
ここで、「紙の目(紙の繊維の向き)」ということを習いました。

シロウト目には、見てもさっぱりわからないため、あらかじめ先生が鉛筆で矢印を書いてくれています。
その矢印にそって、芯紙と厚紙を合わせます。
そうすることで、紙が丈夫になるのだそうです。

紙質によって、切りにくさが代わるため、力の調節が必要となります。
悪戦苦闘しているところに、「中紙はすっと力を入れずに切るお刺身切り、厚紙は力を入れて切る野菜切りの感覚で切るといいですよ」と先生からのアドバイス。
なるほど、わかりやすい例えに、みんなみるみるうちに、上手に切れるようになりました。

接着するのは水で薄めたボンド。泡立たないようにゆっくりかきまぜて作ります。
ボンドをこすって紙を弱らせないように気をつけながら、紙を張り合わせます。

これで、基本の形が出来上がりました。
しばらく、重しを置いて乾かします。
その間、みんなで同フロアの手芸コーナーに行って、中紙の飾りに使えそうなパーツを探しました。

選んだパーツによって、豆本に物語世界が生まれていきます。
革の持ち手を購入して、本に穴をあけて、キーホルダー風にした人もいます。
ボタンやシールを貼ったり、フエルトや毛糸を使ったり、ちぎった和紙を載せたりと、どんどん独自のセンスあふれるものができていきます。
スクリューポンチで、中紙に穴をあけた人もいました。

誰もが初めての体験で、戸惑い気味だったものの、本を作る楽しさを知って次第に夢中になっていき、時間がいくらあっても足りないくらい、めいめいに集中して取り組みました。
最後に、みんなが作り上げた作品を並べてみました。
一つ一つ全く違う、オリジナリティあふれる作品が出来上がりました。
手作りの楽しさを存分に味わえた講座となりました。



(ボランティアスタッフ:小野寺理香)