シブヤ大学

授業レポート

2011/7/22 UP

節電モードな真夏の夜に夢は見られるか?~熱帯夜の「?」を、教えて!ハンズ!~

【レポート①】

今年は日本中が節電モードの夏。でもすでに熱帯夜が続いており、
節電を頑張れば頑張るほど、寝不足でへとへとになってしまいますね。
暑い夏はこれからが本番だというのに、すっかりぐったりしている私たち。
環境に優しく、電力をなるべく使わずに、少しでも寝苦しさを解消できる方法は、ないものでしょうか。
節電モードな真夏の夜に夢は見られるか?そのコツを教えてくれたのが、この講義です。

二部構成になっており、第一部では小島アドバイザーに、睡眠環境改善寝具について解説してもらいました。
今年は夏がくるのが早かったため、ハンズでも暑さ対策グッズは飛ぶように売れており、
すでに手配できないものもあるとのことです。
夏の夜の寝苦しさの二大原因は、高温と高湿。
この二つを、なんとか改善していきたいものです。


まずは、高温対策について考えます。
人間は眠る時に体温を上昇させて、脳をリラックス、クールダウンさせるもの。
赤ちゃんが眠るとほかほか暖かくなるのは、そのためです。
でもその脳のための体温上昇が、熱帯夜にはたまらなくつらいのです。

暑いと人は汗をかいて体温調節をはかりますが、
崩れた体のコンディションをさらに戻すためには「室温を下げる」ことと「体を冷やす」ことが必要。
人が快適に感じる気温は26℃で 28℃設定はちょっと高いとのこと。
室温を下げるためには、エアコン利用のほかに、カーテンに目を向けるといいそうです。
部屋の熱の7割は窓を通じて外から中に伝わってくるため、
遮熱カーテンや遮光カーテンをかけると、効果的だとのこと。
まずは光と熱をシャットダウンすることですね。

今ではさまざまな暑さ対策寝具が出ているため、売り場に行ってもうろうろと迷ってしまいそう。
体を冷やす方法について大まかに分類し、それぞれの特性について説明してもらいました。
①冷却ジェルシート(「エコでクール」など)、
②塩の融解熱を利用したシート(「ひえひえマット」など)、
③接触冷感繊維を利用したパッド(「アイスマックス」「さらクール」など)
④水のマット(「クールウォーターパッド」など)
に分けられるそうです。

塩の融解熱を利用したシートは、
塩が30℃を境に固体から液体に変わる(つまり溶ける)時の化学変化を利用したもので、
30℃以下の部屋での使用が前提とされています。
つまり30℃以上の部屋では、初めから塩が溶けているため、冷える効果が出ないとのこと。
使用する前には、エアコンを使って室温を下げておくことが必要だそうです。
参加者の一人が、使っても涼しさが実感できずにいると言った「NASAスペース涼シート」も、
この種類だとのことでした。
この種類のものは、暑い部屋では、効果はいまひとつのようです。わかっていないとがっかりしますね。

それぞれのシートを触って、ひんやり感を確かめてみました。
どれも自然の原理を利用したものなので、劇的に冷たいわけではありませんが、
ほんのりと涼しさが感じられて、暑さが落ち着きます。
蒸し暑い夜、このささやかな涼しさにどれだけ助けられることか。
説明された4つのクールパターンから、用途別に自分に合ったグッズを選んでいけそうです。


次は高湿対策について。
湿度が高いとムシムシして、不快感が高まります。
人は寝てる間にコップ一杯の汗をかくため、その蒸れを解消して、
サラサラ状態をキープしていないと、快適な夜は過ごせません。
そのためには、「部屋の湿度を下げる」ことと「寝具の湿度を下げる」ことが大切になります。
人が快適に感じる湿度は50-60%ですが、
夏には70-80%まで上がり、何もしないと家の中はジメジメするばかり。
部屋の湿度の解決策はエアコン頼りになるため、
「寝具(布団、マットレス)の湿度を下げる」方を重点的に考えます。

湿気解消グッズとして、
①背中の湿気を逃がすもの(「エアウィーブ」「サラフ」など)
②強力な除湿マット(「マニシート」など)、
③寝床の換気(「エアコンマットそよ」など)
が紹介されました。

背中の湿気を逃がすものはは、中身にテグス(釣り糸)をからめてマット状にしたものを使っているため、
通気性が良く、丈夫で人気が高いそうです。
また、電動のエアコンマットそよは、
汗をかいたところに風を送り、湿気を飛ばしてくれるため、評判がいいとか。 
 
暑さと湿気への対策グッズをたくさん紹介してもらい、逆に選びにくくなってきたところで、
パターン別の選び方を教えてもらいました。
帰宅が遅く、帰って寝るだけの一人暮らしのAさんには、背中の換気ができる水シートがよいそうです。
室内の日中の熱を吸って熱くなっているジェルシートは、不向きだとか。
赤ちゃんと高齢者がいるBさん家庭は、ゴザをしいて直接寝るのが一番健康的だとのこと。
帰宅してから寝るまでたっぷり過ごす時間がある、暑がりCさんには、
就寝時までエアコンをかけて室内ジェルパッドを冷やしておくのがお勧めだそうです。

ほかにも、部屋の換気や気流に気を配ると、熱や湿気をため込まずに爽やかさが持続できるとのこと。
今回紹介してもらったシートやマットはどれも、ハンズの寝具フロアで実際に試して体感できるので、
アドバイザーの方に用途や目的を伝えて、
使用感を確かめながら自分向きのものを選んでみるのもいいですね。


第二部は、鈴木アドバイザーによる、アロマの手作り体験です。
席に座った時から、ほんのりいい香りが漂っているなと思ったら、
前の時間に作ったアロマの残り香だとのことでした。
いい香りに包まれると、リラックスするし、いっとき暑さも忘れます。

みんなで"ひんやりスプレー"と"虫除けジェル"を作りました。
腕でパッチテストをしてから作り始めましたが、無添加で保存料や安定剤を加えていないため、
子供や肌の弱い人でも心配なく使えます。
界面活性剤や防腐剤が入っておらず、作り置きができないため、少量レシピを教えてもらいました。
これだと、小さい容器で間に合うので、もち運びに便利です。

参加者のうち、女性は、化粧水を作ったことがある人が多く、材料の扱いも手慣れたものでしたが、
男性は初めての人ばかりだったようで「アロマなんて自分には縁遠いなあ」と言いながら、
小さな精油瓶をおっかなびっくりつまみ上げていました。
スプレーもジェルも、無水エタノール(アルコール)に製油を加え混ざりやすくしてから、
精製水で薄めて作ります。
スプレーの場合、ペパーミントの精油をメインにして、ひんやり感を出します。
ジェルには、虫が嫌がるにおいの、シトロネラ精油を加えます。
さらに、ジェルにキタンサンガムを加え、好みのとろみを出してできあがり。

全員で作っているうちに、会場付近にはすっかりいい香りがたちこめました。
初めは、ためらいが見えた男性参加者も、すっかり慣れた様子で、
さまざまな香りの精油を加えては、リズムよくガラス棒で混ぜています。
出来上がったスプレーは、シュッと肌にかけると、ひんやりとした心地よさとアロマの香りを楽しめます。
寝しなと起きがけにつけると、気持ちがよさそう。
ジェルは、香りも肌馴染みもいいので、
市販のケミカルな虫除けスプレーを使いたくない人にはぴったり。
鈴木さん自身も、夏には多めに作って、友人や家族に分けているとのことでした。

みんな、同じ分量で作ったはずなのに、出来上がったものはどれも少しずつ香りが違っていました。
1滴分の量の違いで香りが変わってくるなんて、繊細な世界です。
自分好みの香りにアレンジできるので、世界に一つだけの香りを作ってみるのも、楽しそうですね。

実はこの日、足首を蚊に思いっきり刺されてしまい、痒さをこらえて参加したこの講義。
もっと前に虫よけジェルの作り方を知っていたら、刺されることもなかったのに・・・。

二人のアドバイザーに教えてもらった遮熱と除湿対策、そしてアロマ効果を駆使したら、
てごわい熱帯夜でもひんやり、サラサラ、快適に過ごせそうな気がします。
そうしたら、寝不足も解消できて、すてきな真夏の夜の夢も見られるかも!?

(ボランティアスタッフ: 小野寺理香)


【レポート②】

■午前中クラス

実際に手作りアロマを体験させていただきました。
鈴木さんのレシピに基づき、材料を混ぜ、思わず作業に没頭してしまいました。
出来上がったものを使ってみると、ひんやりスプレーは、ペパーミントのアロマオイルが入っているので、
爽快感を感じました。
虫除けジェルは、伸びもよく、肌になじみやすいと感じました。

■午後イチクラス

当日東急ハンズに買い物に来ていた方に飛び入り参加していただきました。
小さいお子さんがいる参加者から、
お子さんが朝起きると寝汗でシーツがびっしょりになっていることが多いので、
何か改善できる方法はありますか?という質問がありました。
小島さんからは、背中の湿気を逃がすマットレスを使うと、
背中に空気が通り、通気性がよく不快さを感じないとのことでした。

■昼下がりクラス

3回目の授業ということもあり参加者の方に質問しながら、授業を進めていました。
小島さんが寝具売場担当されていることもあり、参加者からは枕の質問が出ました。
枕用の冷却ジェルパットがあるとのことでした。
手作りアロマでは、参加者同士で「ペパーミントのオイルを持っている人!」というような声かけをしたり、
鈴木さんの作ったサンプルと比べたりしながら、
「ひんやりスプレー」と「虫除けジェル」を作ることができました。


計3回に授業を通して、幅広い年齢層の方に参加していただきました。
暑くて寝苦しい日が続き、冷房がないと過ごせなくなってしまいました。
エアコンだけに頼るのではなく、自分の寝室環境に合わせた通気性のいいものや涼感グッズを併用し、
熱帯夜でも心地よく眠りたいですね。
暑くてぐっすり季節ではありますが、快適な快眠環境を整え、この暑い夏を乗り切りましょう!!

(ボランティアスタッフ: 小梁川恵美)