シブヤ大学

授業レポート

2010/12/22 UP

30代の油断! ~メタボリックシンドロームを食生活から改善しよう~

メタボリックシンドロームと聞いて、みなさんはどんなことをイメージしますか?
まずお伝えしたいことは、メタボおよびメタボ予備軍の方は
40~74歳で、男性の1/2、女性の1/5もいるということ。
今回の日本心臓財団が提供する「心臓学科」の授業では、
メタボの正しい知識を身に付け、さっそく明日から食生活を改善しよう
という、理論&実践をセットにしたデリシャスなプランをご用意しました。
講師は、管理栄養士の有志団体「Hearty Action」のみなさん。
「正しい食生活を多くの人に伝えていこう」と活動されている、天使のような方々です。
授業は二部構成で行われ、第一部はメタボリックシンドロームの実態と、食生活の改善方法を。
第二部は会場を調理室に移し、ライフスタイル別のオススメ料理をつくり、大試食会をしました。
最近お腹周りがちょっぴり気になっているあなた、明日からできるメタボ対策をまとめましたので、
じっくりとお召し上がりください。


メタボリックシンドロームは、
病気ではないけど、健康でもありません。

メタボリックシンドロームとは、内蔵脂肪が原因で生活習慣病になりやすい状態を指します。
つまり、病気ではないけど、健康でもありません。
一般に女性よりも男性に多く見られる傾向があります。
それは脂肪の付き方には大きく分類すると、男性に多い内臓脂肪型肥満(りんご型)と、
女性に多い皮下脂肪型肥満(洋ナシ型)の2種類があり、
前述の内臓脂肪型肥満が生活習慣病の大敵だからです。
内臓脂肪が増えすぎると脂肪細胞から悪い物質が分泌され、
高血糖、高血圧、脂質異常などが起こりやすくなります。
それらが複数重なると動脈硬化のリスクが高まり、
自覚症状がないまま心臓病などの大きな病気を引き起こします。
まず自分のカラダがどういう状態なのか、それを把握することがメタボ対策の第一歩です。


くらべるのは、
他人ではなく、過去の自分。

メタボリックシンドロームの基準値として、腹囲(おへその位置の周囲)が用いられています。
男性85cm以上、女性90cm以上の方が、メタボの第一条件になります。
これに、血糖値、血圧、中性脂肪値またはHDLコレステロール値のリスクが複数加わると、メタボリックシンドロームと診断されます。
そこでぜひ活用していただきたいのが、健康診断の受診結果です。
みなさんは毎年健康診断を受けています、よね。その診断書をどのように見ていますか?
基準値をバロメーターとするのではなく、前回や前々回の数値と比較して、自分のカラダが
どのように変化しているかを確認することが、メタボ化を把握するのに最適なんです。
年齢を重ねると代謝が落ち、たとえ生活習慣が変わっていなくても、太りやすくなったり、
疲れが取れにくくなったり、老化現象が起きています。
とくに40歳以降は代謝の落ち方が大きく、メタボの方も40歳以降に増加する傾向があります。
30代から生活習慣を改善すれば、大きな効果が期待できるのです。
(40代以降の方も手遅れではないですよ)


これまで食べてきたものが、今のカラダをつくりました。
今から食べるものは、これからのカラダをつくります。

いまさら言うまでもなく、日本人の理想的な食事は「一汁三菜」。
塩分・油物は控えめ、野菜・果実がたっぷりなら、なおよしのこと。
それはわかっているものの、実際に続けて行くのはとっても難しいです。
そこでオススメなのが、食事日記。
いつ、何を食べたか、一目瞭然にすることで、食生活のクセを改善するとともに、
今日の食事を振り返り、明日の食事につなげるのです。
たとえば油物を多く摂りすぎたと思ったら、翌日はあっさりしたものを食べるようにするなど。
そうやって食事を日々調整することで、悪い食生活を続けないことがポイントです。
これまで何度もダイエットに挑み、チャレンジと同じ数ほどの失敗を経験してきた方も
多いのではないでしょうか。
それはきっと、一生続けられる方法ではなかったからかもしれません。
食べたものを日々確認し、楽しみながら正しい食習慣をつくる。
まずは、そこから始めてみませんか。
生活習慣病の予防は、「前もって」しかできません。
これまで食べてきたものが、今のカラダをつくりました。
そして、今から食べるものは、これからのカラダをつくります。


人間は、調理して、共食する
唯一の動物。

午後は場所を調理室に変え、チームごとに調理実習です。
Hearty Actionのみなさんには、食習慣に合わせた4種類のレシピをご用意していただきました。
Aチーム〔丼物や麺類ばかり食べている人〕
雑穀ごはん+具だくさん豚汁
Bチーム〔ふだん野菜を食べていない人〕
野菜ピラフ+豆乳かぼちゃスープ
Cチーム〔摂取カロリーのわりに体を動かしていない人〕
鶏ごぼうどんぶり+きのこ汁
Dチーム〔食べるのが面倒で食事を抜いてしまう人〕
ジンジャーライス+野菜チキンカレー
どのチームも、手際よく、協力し合い、和気あいあいと調理していました。
料理のコツを伝授し合ったり、盛り付けの仕方を話し合うなど、お料理教室のような盛り上がりで。
また、楽しく食べると消化吸収機能が高まり、摂取した栄養を効率的にエネルギーに変換できる
という豆知識も教わりました。
人間は、調理して、共食(きょうしょく)する唯一の動物。
これは石毛直道さん(国立民族学博物館名誉教授)の言葉です。
何を食べるかも大切ですが、楽しく食べることを意識すると、食生活がもっと充実するのでは
ないでしょうか。


最後に、すべての料理のレシピ、レシピの栄養価、Hearty Actionさんのブログをご紹介します。

●料理のレシピ
 
●レシピの栄養価
 
●Hearty Actionさんのブログ 
 

日本心臓財団ホームページ http://www.jhf.or.jp/

(ボランティアスタッフ:黒田紀行)