シブヤ大学

授業レポート

2010/3/10 UP

シブヤ大学のつくり方学科 ~卒業式編~

2010年2月20日(土)16:30~19:00 教室:表参道・新潟館ネスパス


『シブヤ大学のつくり方学科』、全3回の最終回「卒業式」は、『○○大学企画書』プレゼン大会となりました。
北は北海道から南は沖縄まで、7地域の姉妹校からの発表が行われました。


7つの姉妹校すべてに共通していたことは、
・校舎はなく、地域がまるごとキャンパス。
・興味を持った人が気軽に参加できるよう、参加費は無料。
・生徒は、先生にもなれる。
・「学び」を入り口にしたコミュニティを作りたい。

やっぱりこういうところは、皆、シブヤ大学のDNAをしっかり受け継いでいますね!


<○○大学プレゼン>

1.琉球ニライ大学 (学長:新里玲王奈さん、副学長:平安常幸さん)

「はいさーい!」
芸能の島、沖縄から来ただけあって、さすがお二人とも盛り上げ上手!
学長がウチナーグチ(沖縄口)で説明し、副学長が通訳する、というスタイルは、開始から皆の爆笑を誘いました。
例えばこんな感じ。
「遊ぶのがいっぺーいーりきさんシマ、習しーがいっぺーいーりきさぬシマにないびーるはじ。」
(遊ぶのが一番楽しい島は、学ぶのが一番楽しい島になれる。)

 名前の由来:「琉球」…「沖縄」と呼ばれるようになったのは明治以降で、歴史的にほとんどの時代は「琉球」と呼ばれてきました。また、沖縄本島だけでなく、離島も含めて考えたい、という意味も込められていす。
         「ニライ」…ニライカナイ(理想郷)から。ちなみに
               「ニ」に線を一本たすと、「ミライ」になります!
 教室例:ビーチ、森、商店街、リゾートホテル、…
 授業例:家族のあり方を学ぶ
      小学生が先生に(オジーやオバーが生徒に)
      子供のためのキャリア教育
     伝統文化、歴史を学ぶ
     シマの環境を考える

独特の文化を持つ沖縄でしかできない授業がたくさんあるはず!
楽しみです。



2.ひろしまジン大学 (学長:平尾順平さん)

ジン大学のロゴは、一見「ん」 でも実は、
 ・「人」(ひと、じん)
 ・hiroshimaの「h」
 ・「ん?」という気づき

というたくさんの意味が、ひとつのロゴに込められているのです。
ひろしまジン大学は、広島の街と人がつくる大学を目指しています。
それは、大学という言葉が持つ「権威」的なイメージのものではなく、誰もが気軽に参加できる「wikipedia」的なもの。
広島というと「平和」のイメージが強いですが、それだけではない広島の魅力を伝えつつ、広島の「これから」をつくっていきたいといいます。

 名前の由来:「ジン」は「人」のこと。
 教室例:厳島神社、広島市民球場、平和公園、鞆の浦、古民家、…
 先生:神社の神主さん、ユースホステル館長、…

ちなみに、開校予定日は5月15日(土)。
それに向けて、2月28日(日)にはWebサイトが開設され、3月20日
(土)にはオープンキャンパスが行われるそうです。
もう目の前ですね!



3.東京にしがわ大学 (学長:酒村なをさん)

都心にはシブヤ大学がありますが、郊外には東京にしがわ大学があります。
東京にしがわ大学が対象とするのは、なんと東京23区以外のすべての地域!約400万人が暮らしています。
目指すのは、学びの場を通じてつながった人と人による、街のコミュニティづくり。
いわば、「地域コミュニティ大学」です。

東京にしがわ大学は、「街づくり」を自分のこととして考え、一緒に活動していく仲間(サポーター)を増やしていきたいと考えています。
今年秋の開校を目指し、すでに1月には東京にしがわミーティングを行ったり、新聞に記事が掲載されたりと、着々と準備を進めています。



4.福岡テンジン大学 (学長:岩永真一さん)

とにかく、学長の福岡に対する熱い想いが伝わってくるプレゼンでした。
福岡テンジン大学とは、題して「コミュニケーション・プロジェクト」!
この街で、一度は失われたつながりの再構築を目指します。

福岡を語るキーワード
 ・接待の街:食べ物がおいしい、人が温かいといったことから。
 ・国際都市の遺伝子:大陸に近いため、外国が身近にある。
 ・コンパクトシティ:年齢・職業を超えて、人と人とのつながりを大切に
  する都市であった。
 ・日本最大の急成長都市:都市の急拡大により、ミニ東京化が進み、
  現在は単身者が40%を占める。
  ⇒血縁・地縁・職縁の減少による、つながりの崩壊
 
 授業例:おもてなし学科…博多弁を用いて、接待の街福岡を学ぶ。
      博多学科…福岡の歴史・文化・芸術を学ぶ
      子ども学科…大人の「こども心」を掻き立てるような授業を行
      う。

現在、福岡市やNPO法人グリーンバードのバックアップを受けながら、みんなでつくるプロジェクトを目指しているそうです。



5.鹿児島サクラジマ大学 (学長:久保雄太さん)

鹿児島のシンボル、桜島。
その桜島を大学の名前にしたのはなぜでしょうか?
桜島は、鹿児島に灰を降らせます。
一見迷惑なようだけど、そういえば、灰をまくことで何かが起きるという昔話がありましたね。
そう、枯れ木に花を咲かせた「花咲か爺さん」です。
サクラ島大学では、街の中から「種」を見つけ、それを授業として仕掛けることで、一人一人の心に「花」を咲かせることを目標としています。 
そんな「花」がたくさん集まって、いつか鹿児島の街の「花」となってくれることを願います。

 教室例:チンチン電車
 授業例:サツマイモ学科



6.大阪ハンシンカン大学 (今村ひろゆきさん)

大阪ハンシンカン大学が対象とする地域は、「ハンシンカン」つまり阪神間、大阪圏です。
街で言うと、大阪、梅田、西宮、尼崎、など。
開校に向けて着々と準備を進めてきましたが、ここに来て、問題発生!
そこで、他の姉妹校のプレゼンとは色が異なる、現状の問題点と、その解決策についてのお話となりました。

問題点とは、例えば、
 ・資金面の問題
 ・学びの場の乱立
 ・アンチ東京(「渋谷発」がひっかかる)
といったこと。

プレゼンでは口に出しませんが、どこの地域も多少なりともそれぞれの問題を抱えている様子。
夢を語るだけでなく、問題点を共有することも、支え合って前に進むためには必要なことだと感じました。
今後は、「オール大阪」のプロジェクトとして、各団体や地域のキーマン、行政、企業の信頼を獲得するよう努力するとともに、
多角化によって健全な運営ができるような方法を考えていくとのこと。
問題があるから「できない」ではなく、「どうやったらできるか?」を考えていく。
ピンチをチャンスに変えることができれば、未来は大きく開けると思います。




7.札幌オオドオリ大学 (学長:猪熊梨恵さん、事務局長:服部彰治さん)

“ドリ大”の「ドリ」は、ドリームの「ドリ」!
1年前のこの授業で企画を発表し、つい先日の2月6日に開校式を迎えた札幌オオドオリ大学(通称:ドリ大)。
平成育ちの猪熊学長から昭和世代の服部さんまで、幅広い世代の人たちが支えます。
現在、会員数は420名、サポーター数は43名と、共感の輪を広げてきました。

 理念: I have a dream !
 授業例:札幌オオドオリ大学 2月6日開校します!
      雪に命を吹き込む〜自衛隊員に学ぶ雪まつり
      オリンピック選手に学ぼう〜カーリング編〜
      宇宙の謎 ブラックホールにハマる〜好奇心旺盛なあなたは、
      出てこられないかもしれません。〜

ここまで来るのは大変だったけど、開校して本当に良かったと語る猪熊さんと服部さん。
「人は、います。アイディアは、あります。夢は、あります。」
これからも、夢を胸に、歩んでいってください。
それがきっと、皆の夢につながります。


 <全体の感想>
プレゼン終了後、全員が一言ずつ感想を話しました。
その中からいくつかご紹介します。
「課題はあるが、夢がある。いつか“We Have a Dream !”と言えるようになりたい。」
「プレゼンを聞いて、その街に住みたくなった。」
「全国の人の顔を見ることができて良かった。」
「ここでの縁を、これからも大切にしたい。」
「ハンシンカン大学に共感。涙の向こうに夢がある。」
「夢を見ながらも、地に足をつけて考えていきたい。」
「プロジェクトに関わっていく人の覚悟を感じた。」
「シブヤ大学の単なるコピーではなく、それぞれがオリジナリティを持っている。」


最後に、シブヤ大学の左京学長から。
「シブヤ大学も、フロントランナーとして頑張りたい。」





 (ボランティアスタッフ 田中万里子)