シブヤ大学

授業レポート

2010/1/28 UP

自然の魅力を大発見

【自然をどれだけ楽しんでいますか】
ふだんの生活で、みなさんはどれほど自然を意識して過ごしていますか?
じつは自然には、私たちを感動させてくれたり、おおらかな気持ちにさせてくれることが
思っている以上にたくさんあるんです。
今回の授業では、自然や生態系に関する知識を持ち、自然と触れ合いながら環境教育を行う
インタープリターと呼ばれる職業の井東敬子さんをお招きし、
私たちの中に眠っている「自然の魅力を感じるセンサー」を呼び覚ましていただきました。
そして特別講師は、代々木公園の大自然。
ちょうど紅葉が見頃で、自然の美しさを存分に教わりました。

【自然を見つめる3つのゲーム】
午前中は代々木公園の自然の中で、午後は会議室で、
合計3つのゲームを楽しみながら
自然の計り知れない魅力を味わいました。

GAME.1 「色さがし」ゲーム
3人1組でチームを結成し、チームごとに配布されたカラーチップ(色見本)と
そっくりな色を森の中から見つけ出すゲームです。
対象は、落ち葉、木の実、鳥の羽、動物のフンなど、公園にあるものなら何でもOK。
集中して色を探していると、自然の中には本当にたくさんの色があるんだなと気づかされます。
生徒さんからも「今までは色をザックリとしか見ていなかったけど、
一枚の葉っぱの中にもいろいろな色があることに気づけました」という感想が聞かれました。

GAME.2 「わたしの木」ゲーム
森の中で自分が気に入った木を見つけ、目隠しをしたパートナーにその木に触れて、
感じてもらい、その感覚を頼りに木を探し出すゲームです。
(やり方)
①自分が好きだと思う「わたしの木」を見つけてきます。
②パートナーに目隠しをしてもらい、「わたしの木」まで連れて行きます。
③目隠しをしたまま、その木を触ったり抱きしめたりして、その木の特徴を覚えてもらいます。
④元の場所に戻ったら、パートナーは目隠しを外して「わたしの木」を探しに出ます。
⑤それを交互に行います。
実際に木に触れて、木肌のザラツキや幹の太さなどを感じていたのに、
目を使うと余計な想像を働かせてしまい、見つけ出すのは意外と難しいものでした。
また、インタープリターの井東さんからは「自分の好きな木が一本あるだけで、
自然に対する興味が高まり、その木を通じて季節の移ろいも楽しめますよ」
というアドバイスをいただきました。

GAME.3 「みんなのとんぼ池」ゲーム
会場を代々木公園から会議室に移し、架空のトンボが生息する大きな池の周辺に、
トンボの生態系を守りながら新しい街をつくるゲームです。
(やり方)
①5~6人でチームをつくり、一人ずつ住民、行政、農民、工場、トンボ(NPOの代わり)などの
役割を決めます。
②それぞれの役になりきって、チーム内で街づくりのディベートをします。
③意見がまとまったら地図上に架空の街を描き、街のコンセプト、名前などを決めます。
④チームごとに、プレゼンを行います。
⑤最後にどの街に住みたいか、全員で投票します。
このゲームでは、午前中に感じた「自然っていいよね」から一歩踏み込んで、
「持続可能な社会を実現するためにどんな街をつくればいいんだろう」
ということを真剣に話し合っていました。
人は、どうやって直すかわからないものを、壊すのはやめた方がいいですから。

【授業で得た3つのスイッチ】
自然との対話を通じて、木の一本一本、葉っぱの一枚一枚、種の一粒一粒に、
それぞれ個性があることを発見でき、そのすばらしさを楽しむことができました。
また、参加した一人一人が、自然が好きで、積極的にコミュニケーションを取り合い、
初対面同士とは思えない連帯感の中で充実した時間が過ごせました。
このようなすばらしい授業とメンバーのおかげで、
私たちは3つのスイッチを手に入れることができたと思います。

SWITCH.1 「見ている」を「見えている」に変えるスイッチ
見ようとする意識を持つことで、見ているのに見過ごしていたことが見えるようになるスイッチ。

SWITCH.2 五感をフル稼働して、自然を感じるスイッチ
見つめること、触れること、嗅ぐこと、耳を澄ますこと、味わうことを積極的に行い、
自分の中に眠っていた「自然を感じるセンサー」をフル稼働させるスイッチ。

SWITCH.3 環境のことを、広い視野で考えるスイッチ
自分の街で起きている環境問題も、遠くの国で起きている環境破壊も、
広い視野を持って地球の問題として捉えるスイッチ。

【最後に】
井東さんが授業の合間に朗読してくださった、
ヘレン・ケラーの「3日間の見える日」という詩をご紹介します。
この詩には、人生を楽しくしてくれる大切なことが凝縮されているように思います。
みなさんにも、何かを感じていただけたら幸いです。

3日間の見える日
ヘレン・ケラー      
私は、すべての人が成人してからの2~3日、
全く目が見えなくなり、口がきけなくなったらいいのにと思うことがよくありました。 
暗闇は光のありがたさを、静寂は音の寂しさを教えてくれると思うからです。
時折、私は、目の見える友人が何を見ているか知りたくてテストすることがあります。
この間も森の中の長い徒歩旅行から帰ってきたばかりの友人に、
何か珍しいものでも見たかどうか尋ねてみました。
彼女の答えは「別に何も」。
1時間も森の中を歩き回って何も見ないでいられるなんてできるのだろうかと私は自問しました。
目の見えない私には、手で触れるだけで何百という面白い物を発見することができます。 
一枚の葉っぱが微妙に対照的な形をしていることを感じます。
白樺のなめらかな木の肌や、松のゴロゴロした感じを手のひらで感じます。
春になると木の枝を触って、冬の眠りから覚める最初の兆しである
新しい芽が出ていないかどうかを探り当てることができます。 
時として、本当に幸運な時には、木を触っていると、さえずる小鳥の振動を感じたりもします。
これらすべてのことを目で見たくて、私の心は時々張り裂けそうになります。
触れるだけでこれだけの喜びを感じるのですから、
本当に見ることができたらどんなにか美しいだろうと思うのです。
そして、私に3日間の見える日が与えられたら、何を見たいだろうかと想像してみました。
まず森の中を歩き回って、自然の世界に我が目を凝らすことでしょう。
色鮮やかな日の入りを見て祈りましょう。
そうしたら、その夜はきっと眠れないことでしょう。
日の出と共に起きて、夜が日に変わる心躍る奇跡の時を見てみましょう。
眠っている大地を覚ます太陽の光の織り成す壮大なパノラマを、畏敬と共に眺めるでしょう。
もし、あなたに3日間の見える日が与えられたら、
あなたはそれとは別のプログラムを考えるに違いありません。
でも、もうすぐ盲目になるということがわかったなら、
あなたは今までとは違って多いに目を使う事にきっとなると思います。 
あなたは、自分の目に入るすべての物に触れ、抱き抱えるでしょう。
その時初めてあなたの目前に新しい美の世界が現れるのです。
目の見えない私から、目の見えるみなさんへひとつ提案があります。
すべてのものに触れて感じてほしいのです。
明日盲目になると仮定して、今日のあなたの目をフルに使ってほしいのです。
明日嗅覚が衰えると思って花の芳香を嗅ぎ、食べ物の一切れ、一口を、
新たな食欲をもって味わってほしいのです。
明日、あなたはもう匂いを感じ、物を味わうことができなくなると思って
あらゆる感覚をフルに活用してもらいたいのです。
いくつかの方法で自然に触れ合うことで、
あなたの前に展開される輝きや美しさ、すべての感覚の中で、
視覚が最も美しいと私は思います。

(ボランティアスタッフ:黒田 紀行)