シブヤ大学

授業レポート

2009/5/27 UP

   

「コミュニケーションできるんです、僕は。」
そう笑顔でお話されるのは、good design company の代表でありアートディレクターの水野学さんです。

この授業では、デザインや広告を通してコミュニケーションしている水野先生が今まで手掛けられたお仕事を拝見しながら、コミュニケーションについて、「伝える」ことについて、時折会場が笑いに包まれる和やかな雰囲気でお話いただきました。


Q、あなたはどんな人ですか?
冒頭に行ったワークショップ。前後に座った生徒さん同士で2、3分間話します。
もちろんほとんどの生徒さんが初対面…。私はお互い名前と職業を話すくらいでタイムアップしてしまいました。
限られた時間の中で自分というものを伝えるって難しい!と身をもって痛感。。

自分から見た自分=他人から見た自分 とは限りません。
私はよく、「初めはもっとおとなしい人かと思った…」なんて言われます。
自分の中では、言うときは言うし、思い立ったらすぐ行動派のつもりだったのですが、傍から見るとそうではないみたいです。それって相手に自分のことをうまく伝えきれてないってことですよね。

どうすればうまく伝えることができるのでしょうか?
以下、水野先生から教わったポイントです。

●コミュニケーションのためには“客観的に見る技術”が大切
そもそも、人間は本能として主観的になりがちです。
例えば、デッサンの場合、「自分、上手い!」と描いていても後から見るとゴリラみたいなデッサンだったり…。
デッサンは 描くこと ではなく 見ること
自分の主観をいかに抑えるかがデッサンなのだそう。
人気のあるタレントさんなどは自分を客観視できていて、見せるところ・見せたいところを知っているのです。

●“転校生”に例えて考える
水野先生は広告を作るとき商品を転校生に例えて考えるそうです。
つまり、自分がどんな人であるかを伝えるとき、自分自身を転校生として考える。
どこが魅力?どんな風に見えたい?どんな風に見せたい?
そのためには、自分のコンセプトを考えること。
コンセプトは明快で簡潔、ぶれていないことが大切だそうです。
水野先生のお仕事においても、コンセプトを平易で短い言葉にしておくことで、スタッフ全員が共有しやすく、迷ったらすぐにコンセプトに立ち返れるそうです。コンセプトは地図になり、迷いにくくなります。

●伝える内容は少なくする
人の歩くスピードや、人がいるシチュエーションに合わせて広告の見せ方を変えるように、限られた時間の中でいかに相手にインパクトのある言葉を伝え、印象を残すか。
その際に相手が受け取りやすいやり方でボールを投げること。

●自分が持っている財産を見つける
デザインを刷新し、新しいイメージを作るということは、これまでの歴史や伝統を否定し全く別のものを作ってしまう恐れがある。せっかく良い財産(自分の持ち味)を持っているのだからその財産を最大限生かすことが大切。

●コミュニケーション能力を鍛えるために、脳を働かせよう
成長する人は、自分は知らないことが多いのだと思える人。
いつもは手に取らないような、様々なジャンルの雑誌を読んでみたりするのも◎。


授業の最後に、冒頭で行ったワークショップの続きがありました。
最初に話したときのお互いの印象を話します。結果は…やはり自分が思っていた自分像とはちょっと違っていました。
「戦争はコミュニケーションの欠如だ。」と語る水野先生。
つまりコミュニケーション次第で戦争まで解決できちゃうかもしれないのですね!

たった2時間でしたが、水野先生のお話に元気と勇気をもらった充実した授業でした。

水野先生、どうもありがとうございました!

(ボランティアスタッフ 安達 光)