シブヤ大学

授業レポート

2006/10/25 UP

授業レポート

授業直前、教室に集まった生徒さんは主に20代から30代。理知的なたたずまいの皆さん、静かな教室に不思議と活力が満ちています。そこへ朗らかな笑顔で本日の講師・嵯峨さんが登場「アースデイマネーって皆さんご存知ですか?」
シーン……僕もふくめ、ほぼ全員が初めて聞く話のようです。
アースデイマネーは、地域通貨と呼ばれる特殊なお金。授業はまず『地域通貨』ってなに? ということから始まりました。


#地域通貨ってどんなもの?
普段使う「」や「$」といったお金は法定通貨、国家がその価値を保証しています。一方、地域通貨とは、もっと国よりも小さな特定のコミュニティだけで価値を持つお金。
法廷通貨ではあらわしにくいユニークな価値を流通させることができるのが特徴です。地域通貨ならではの役割が存在するんですね。

たとえば、埼玉県小川町には地域通貨『生ごみクーポンfoodo(ふうど)』があります。生ごみは可燃ごみとして捨てます。確かに燃えますから。でも水分が多いため、焼却炉の負担は紙クズなんかよりずっと大きい。
そこで小川町は生ごみを肥料に変えるプラント(工場)を建設しました。
生ごみの再利用に協力する住民は、野菜と交換することができる『foodo』を受けとります。ごみはプラントで処理され、優れた肥料になって農家に渡ります。そして農家の作物は『foodo』を持ってる住民へ。利益のナイス循環が実現しています。

地域通貨は、ふつうのお金よりも使用方法が限定されているからこそ、流通経路そのものに意味や目的を持たせることができる。振り返れば、子どもの頃に家族へ発行した「肩叩き券」も、小さな家庭の地域通貨だったのかもしれません。

実際に使われている地域通貨は世界で4000種類以上、国内の参加店舗は5000以上と推計されてます。多くは市民団体やNPOが運営していますが、最近は自治体からの注目度も増してきているそうです。
シブヤのアースデイマネーもそんな、未来を担う注目すべき地域通貨です。


#シブヤの地域通貨「アースデイマネー(eartdaymoney」」
シブヤの地域通貨アースデイマネーは2001年の10月23日に運用を開始しました。この授業日(10月21日)の2日後にはおめでたい5周年! 22日には一大イベント「アースデイ・マーケット」が開催されています。
気になるお金の単位は[r](アール)。由来はriver(川)の頭文字です。実はなんと、名曲「春の小川」のモデルは、かつて実在した『渋谷川』なんですって! 知ってました? 教室でも知っていたのは1人だけ。かなりのシブヤ通に違いありません。
美しい川の流れるシブヤを取り戻したい、そんな気持ちが伝わってきます。

#「r」をもらおう!
朝掃除やモヤイ像の花壇の手入れ、宮下公園の落書き消しなど、「r」はさまざまな機会で手に入れることができます。金額は作業内容によって違いますが、1時間の労働でおよそ500[r]。特定の場所には「r」の出るガチャガチャもあるんです。

#「r」を使おう!
カフェやレストラン、ヘアサロン、雑貨屋、接骨院、陶芸教室にスポーツサロン。「r」の使えるお店はかなり豊富。朝清掃に参加して、プールで泳いでシャワーを浴びる! そんな休日はナイスだと思いませんか? 参加店舗やイベント情報が随時更新される公式サイトは要チェック。

#「r」は電子マネーにも。
講義の終盤には生徒全員へ500[r]贈呈。太っ腹。携帯電話を利用したペーパーレスな「r」の使用法の紹介です。しかしここで、通信上のハプニング発生。振込み機能の体験を予定していましたが、残念ながら時間が先に来てしまいました。

#若者を動かすマネーはきっと、未来を動かすマネーです。
最後はちょっとドタバタしたけど、アースデイマネーの特徴がよくわかる授業だったと思います。紹介パンフレットや口座カード、使えるお店もなんだかオシャレなアースデイマネー。説教臭いところは少しもなく、ひょうひょうと若者を「いいこと」へ巻き込んでしまうすてきなシブヤ通貨、僕も使ってみようと思います。
(ボランティアスタッフ 松本浄)