シブヤ大学

授業レポート

2008/7/24 UP

そこには笑顔がありました。

2008年6月21日夏至の日、キャンドルナイト当日。多くの企業やお店が毎年取り組んでいるこのイベントは、夜の8時から10時の2時間、 みんなで電気を消して、キャンドルの灯りで過ごしましょうというものです。

そしてこの日、シブヤ大学では生徒さん自らキャンドルを作り、表参道ヒルズにあるTORAYAカフェにディスプレイをする、5時間という長丁場の授業を行いました。

まずはキャンドル作りから。教室は千駄ヶ谷社会教育館です。
机の上には12色のカラーブロックと、かわいらしいガラスのビン、そして作業に使うスプーンやお皿が並びます。
今回作るキャンドルは“グラスキャンドル”。フレーク状・ホイップ状・ブロック状にしたロウ(ワックス)を自分達でグラスに詰めたものです。

もちろんロウ(ワックス)をただ詰めて終わりの訳はありません。予定作業時間は2時間半。フレーク状・ホイップ状・ブロック状の3型に、カラーブロックで色づけをし、生徒さん12人で手分けをして36パターンを作ります。

さあ!気合いを入れて!始まりますよー!
まずは作業工程やキャンドルについての説明から始まりました。
「キャンドルは周りを照らすけれど、キャンドル自身は暗いんです。そこで、キャンドルに透明感を出して、炎が内に入った時に、キャンドル自身も淡く輝くようにしたいんです。」穏やかに先生は言いました。
なるほど、キャンドルは周りを明るく照らすけれど、キャンドル自身は影になって目立たないですもんね。見本として先生が作ってきてくださったキャンドルは、色鮮やかで透明感もありとても華やかなものでした。

しかしこの透明感を出すのがまた難しい!
キャンドルの主原料であるパラフィンというものがあるのですが、これは気泡が出来やすい。その気泡を消すために同じく原料のステアリン酸というものを入れるのですが、そうすると不思議なことに透明感が消えてしまったり・・・なかなか奥が深いんです。

そしてキャンドル作りに最も大事な工程は芯選びだそうです!芯が太いと炎も大きく、またその逆もしかり。キャンドルが最後まで綺麗に燃え尽きるには、この芯選びにかかっているのだそうですよ。

さて、生徒さん達は、100℃以上に暖めた原料に12色のカラーブロックから選んだ自分のオリジナルの組み合わせのブロックを入れ溶かします。
固まらないうちに慌てて紙皿に薄く広げて冷蔵庫。慌てて泡だて器でカシャカシャ。ケースへ入れて冷やして慌ててカット・・・バタバタです。

このせわしなさにはちゃんと訳があるのです。
キャンドルは水のように沸点が決まっているわけではないので温度管理が最も重要なんですって。温度計という司令塔を頼りに、先生も生徒さんも必死です。

そうして、ようやく12人が3種類ずつ、全部で36種類を作り終えました!
不思議ですね、誰一人として全く同じ色・形のものがありません。ちょっと粒が大きかったり、ブロックが薄かったり。どれもいい味が出ています!

それらを一箇所に全てまとめて、バイキングが始まります。
グラスに詰める全体の配色を考えながら、頑張って手分けをして作った36種類から選び、詰めていきました。あれもいいな、これもいいな、と選んでいるとグラスに入りきらない!皆さん実はこの作業が1番頭を使ったのではないでしょうか。

そして最後に芯を入れて完成です!!色鮮やかなキャンドルが出来ました。生徒さんたちも皆満足そう。

しかしまだまだ授業は終わりません。
教室を表参道ヒルズに移し、TORAYAカフェにてディスプレイです。
お客様のいる各テーブルに、生徒さん一人ずつが、作ったキャンドルを置き点火をします。お客様も綺麗なキャンドルに思わず見惚れていたり、写真を撮ってくれていたりと、カフェ全体に笑顔が広がります。きっとキャンドルの灯りの元で、ますます会話が弾んだことでしょう。

初めてキャンドル作りから点火までを通して行い、改めてキャンドルの不思議で神秘的な力に興味が深まりました。作業中も、そして点火をした時も、そこにはみんなの笑顔がありました。キャンドルには不思議な力があるようです。

穏やかにやさしく周りを照らし、心にはスッと一筋の芯が入ったキャンドルのような人になりたい、なんて柄にも無いけれど思わず物思いに耽ってしまったのは、きっと未知なるキャンドルパワーのおかげに違いありません。

(ボランティアスタッフ 嶋村千夏)