シブヤ大学

授業レポート

2006/9/29 UP

マイク一本勝負!POPでHOTな性教育

14:50
本や出演番組などで知って、「ナマ文野に会いたい」とずっと願っていた方たちがぞくぞくとやってきました。
15:30
授業前にもらった黄色の花束を抱え教壇に立った文野先生。(拍手)「緊張するなぁ」と呟く先生。(シーン)「そんなシーンとされると余計に緊張しますので、野次でも飛ばしてください。僕はどMなんで、追い詰められれば追い詰められるほど燃えます。」(大爆笑)「っしゃー」と素直にウケを喜ぶ先生の純粋さに心奪われた人も多かったのでは。
シブヤは文野先生にとっても縁のある街。彼がまだスカートにルーズソックス姿の女子高生だったころ、この街でスカウトされたとか。それもメンズマガジンのモデルとして。「きみ、かっこいいね。どこの高校?」と聞かれ、「どこって…女子高なんすよねぇ」と心の中で突っ込みを入れたという先生。そんな爆笑エピソードを交えながら、フミノ流POPでHOTなトークで、一時間もの間会場を沸かせてくれました。
でも今でこそ、こんな風に自分が性同一性障害であることを面白おかしく語っている文野先生ですが、計り知れない苦悩との戦いがありました。「今まで、男に戻ることだけに気を使い過ぎてきたっすね。男だから好きでも甘い物は食べないとか、男はこうあるべきだ!とか。今やっと自分は自分なんだと思えるようになりました」と最近の心境の変化なども語ってくれました。「良いも悪いも、自分が自分の全てを受け入れたとき、他人も自分を受け入れてくれる」のだと先生は言います。これは単純なようでとても大事なことではないでしょうか。凄く素敵な言葉だと思いました。
後半は、質問にもあった手術のことを話してくれました。違和感と共に付き合ってきた「女体」とおさらばするかしないか、まだ考え中だそうです。「体が男でも、女でも、結局ここにあるのは僕自身。杉山文野という事実だけ。これだけは、どんなにもがいても変えられない、でも大切な事実なんです。」これもまた考えさせられる言葉でした。
でもやっぱり最後は笑いで締めくくり。まだホルモン注射も打っていないのに髭も、胸毛も生えて、一段と男らしくなった先生。本人いわく、「何でも気合っすよ。僕は気合で毛も生やしましたので。気合でなんでもできます!」なるほど…でもこれって説得力あったのでしょうか。(笑)とにかく、文野先生らしい、楽しいトークでした。シブヤ大学の発起人でもある杉山先生の、貴重な授業でした。もちろんサイン会も盛り上がりました!
ちなみに、著作の「ダブルハッピネス」は性同一性障害のことだけでなく、家族愛、仲間愛、今の私たちに欠けているかもしれない大切なもの全てを思い出させてくれる一冊です。

(ボランティアスタッフ 堀口 隆美)