シブヤ大学

授業レポート

2020/1/9 UP

Shige’s Bar ✖︎シブヤ大学
『映画「カランコエの花」を観てシゲ先生と語る一夜限りのBARへようこそ!』

2019年10月26日(土)【授業レポート】
Shige’s Bar×シブヤ大学
『映画「カランコエの花」を観てシゲ先生と語る一夜限りのBARへようこそ!』

久々の穏やかな気候になった10月26日土曜日夕方、シブヤ大学事務局がいつもとは違う、ハロウィン仕様の賑やかなBarに様変わりしています。そう、今夜は一夜限りの「Shige’s Bar」がオープンする日です。

今夜の授業のテーマは一言で表すならば「LGBT」。
近年ますますメディアでも取り上げられるようになってきているこのテーマをただ講義形式やワークショップで学ぶのではありがちで、なんだかつまらない。そこで、“関連する映画をお酒片手に観ながら、みんなでのんびり語り合う“ことを目的にこの授業はつくられました。

続々と集まる生徒さんたち、みなさんお酒を片手にこれからどのようなBar(授業)がオープンするのか期待が膨らんでいるようです。まずはシゲ先生からのご挨拶と授業コーディネーターからの授業をつくった想いの共有です。

そして、みんなで「乾杯!」

和気あいあいとしてきたムードのままハイネケンのCMが流されます。
このCMは「価値観の違う人と仲良くなれるのか」をテーマに差別や排除に関する意識の異なった二人組がバーカウンターを作る共同作業を通じて、一本のハイネケンの瓶を交わすようになる一連の実験をストーリー化しているものです。「Open Your Mind」から「Open Your World」につながる様子が表れている、実に人間味溢れるCMで、ただ社会問題を「問題」として切り取るのみで終わらないハイネケン社の想いが伝わってきます。YouTubeでも公開されているので、気になった方はぜひ観てみてください!

そして、いよいよメインの『カランコエの花』の上映です。上映時間はおよそ40分。あっという間の時間でした。

一見すると、いわゆる青春学園映画かと思わせるような描写が続きますが、その内容は実にディープで考えさせられるものでした。私自身、映画を観終わった後に何とも言えないもどかしさが心に残りました。このもどかしさはきっと私だけではないはず!いよいよみんなで共有の時間です。

シゲ先生と授業コーディネーターのあけみちゃんがまずは感想をお互いに伝え合います。あけみちゃん自身、この映画を観るのは数回目のようですが、何度観てもその時々に感じることがあるそうです。
その中でも議論に挙がっていたのが、ラストシーンについて。ここでお伝えすると映画のネタバレになってしまうので、その内容は控えさせていただきますが、ストーリーの展開からは予想もつかないような驚きの演出が待ち構えていました。
映画全体を観ていると、やはりこのラストシーンについては意見が分かれるところで、生徒さんからは様々な感想や考察、はたまた推理のような意見も盛んに飛び交いました。

今日初めて会った人たちが集った空間でしたが、お酒を片手に思ったこと・感じたことを自由に共有する、実に和やかな空気感に包まれていました。その語り合った内容はLGBTにとどまらない、世の中の“多様性”の話にまで。
いかにうまく苦手と思う人とも付き合っていくかといった話題も展開されていました。

あっという間のBar(授業)もそろそろクローズの時間です。しかし、まだまだ話し足りない人も多いようで、“語り合い”はその後の二次会にまで持ち越しのようです。

今回の授業では「LGBT」をテーマに一本の映画をBar空間で観て、先生・生徒通し自由に語り合いました。
普段何気なくニュースや各種メディアで目にしているこのようなテーマを空間設計や語り合いへの運び方等に配慮することで、こんなにも自然でラフに扱うことができるのだと感じました。

見た目や価値観、思想、生い立ち等誰一人として同じ人はいません。「周りと“違う”ということ」、「そもそも“普通”とは何か」、といったテーマが盛んに議論されている世の中だからこそ、このような正解のない語り合いの場は必要とされているはずです。
みなさんもぜひ、誰かと『カランコエの花』を観てさまざまなことを感じ取り、その想いを誰かに共有してみてください。きっとその人からも違った想いが聞き出せるはずです。

(レポート:堀部奈々)