シブヤ大学

授業レポート

2019/10/24 UP

2限目:ものごとを違う視点から眺める
 "考え方の材料"

「僕の仕事のインターフェースデザインとは、つかみどころにないものに取っ手をつけることです。」
ご自身の仕事をこんな風に紹介する福田さんが先生のこの授業は、『シブヤ大学』を題材に話が進んでいきました。

世の中は「つくり手」によって出力されたもので形成されている。
例えば絵描きさんが絵で、自分の表現を世にアウトプットするように、
シブヤ大学は、授業コーディネーターが自分の興味を授業という形をとって社会に出力している。

「日常の中でなぜか惹かれたり、解き明かしたくなるものはなんですか?
もしくは、理由はないけれどつい行動してしまうことはなんですか?」
という参加者に出された事前課題で、あなたの頭に浮かんだことは、その人自身の興味や好きなこと。
ものごとを、自分だったらこんな風に捉えるなと突き詰めていった先にあるのが、
その人の表現、その人らしさになる。

福田さんは、お仕事をするとき
似ているもの、同じ構造のものを探すのだそうです。
そして、それを自分の好きな地図や年表、例え話を使って考えていく。
福田さんフィルターを通すと、スタッフや生徒さんのシブヤ大学への関わり方は太陽系に例えられていて、
「それは僕が宇宙が好きだから、似たものを探したときに太陽系に結びつくんです。」とお話されていました。


授業は途中で、「データを見ると可視化したくなる」というシブヤ大学スタッフの要さんのプレゼンがありました。
シブヤ大学の授業後に記入式で答えるアンケート集計から読み取れるものを、
表やグラフなど、地図などへ数字を落とし込んで見えたものについて話してくれました。
「データ解析すると全く見えなかったことに気付ける。何故?と思うことや、改善点も見えてくる。」
と話す要さんの、ものごとを見る視点は数値なんですね。

この他にも、マンダラートを使ったり、席が隣り合った人と気付きをシェアしながら
授業は進められていきました。

「世の中で表現されているものを見るときに、
つくり手がどんな視点からメッセージを込めているかを見ると面白い。
僕は世にアウトプットされているものは、
他の誰かが自分に代わって実験してくれているんじゃないかと思うんです。」と福田さん。


「學」という字は、屋根のある建物で、弟子が師に向き合って五感を使って交流する意味があるのだそうです。
ものごとを違う視点で眺める考え方とは、もちろんテクニックもあると思いますが、
福田さんや要さんたちのような、ものごとの見方を知っていること、福田さんの言葉を借りると
「“取っ手”(視点)の数を増やすこと」、
誰かのメッセージを想像することなのかもしれないと思いました。


世界を自分の興味がある“取っ手”から見てみる。
そこに意識的になると、今まで以上に世の中のものが面白く感じられるかもしれません。

(授業レポート:中里希 / 写真:佐藤隆俊)