シブヤ大学

授業レポート

2019/10/23 UP

2限目:SONG〜ことばを歌う〜

13周年特別授業の2限目「ことばと音楽で学ぶ」は、音楽を通してことばを考える授業です。
周年授業初参加の斉藤がレポートさせていただきます。

初めにコーディネーターの大澤さんから、授業をつくったきっかけやこんにゃく座への思いを紹介。
小学校からのファンである「オペラシアターこんにゃく座」。
代表と音楽監督である萩京子さんと歌役者の青木美佐子さんを紹介し、授業はスタートしました。

まずは、「こんにゃく」ってどういうこと?という説明から。
東京藝術大学の必修授業であった体操の名前に「こんにゃく体操」というのがありました。ゆらゆらと体を動かす様子が「こんにゃく」を連想させることから名付けられたこの体操。今までに多くの声楽家、俳優、舞踏家、演奏者等の能力を引き出してきました。
1965年から12年続いた学生サークル「こんにゃく体操クラブ」が母体となって日本語オペラ専門劇団として設立されたのが「オペラシアターこんにゃく座」です。

早速、座っていた椅子を片付けて、お2人の先生の指導のもと体操の実践です。
「ぶぅら、ぶぅら」という掛け声のもと、心も身体もリラックス。教室は穏やかな一体感に包まれました。



次は椅子を戻し、グループに分かれて声を出していきます。
「サラダ記念日」で有名な俵万智さんの短歌5首を紹介。


はじめは青木さんによる朗読。次に萩さんが作曲した曲をつけて青木さんが歌います。

生徒さんの多くが「ことばの印象が変わる」体験を共有されていました。
萩さんの伴奏と青木さんの歌に短歌の言葉が乗ると、感情の振幅がより大きくなる気がします。また、こんにゃく体操で緩んだ身体により響いていた気がします。



そして今回は、ことばを聴くだけではなく、生徒さんそれぞれがメロディとフレーズをその場で身体に沁み込ませ、グループに分かれて順番にみんなの前で披露していきました。朗読と歌を交互にアウトプットしていくことで、言葉の可能性を自ら体感しました。時に照れながら、時に間違えながら。発表が終わった生徒さんは、皆ほっとした笑顔を浮かべていました。


今回の授業は、贅沢な3部構成。全グループの発表が終わっても、授業はまだ終わりません。
最後に、「オペラシアターこんにゃく座」公演のエッセンスを堪能するミニコンサートの時間が用意されていました。
日本語によるオペラとはどういうものか。野村修訳詩の日本語のオペラや、谷川俊太郎、与謝野晶子、宮沢賢治らの作品世界の一部を、劇場の特等席にいるように、間近に見せていただきました。生徒の皆さんの目がきらきら輝いていました。


授業を通じて感じたこと。
同じフレーズ、同じ言葉が表現手段によって表情が変わることを教えてもらいました。
そしてことばで伝えることは手段の一つ。伝えるべき中身が、曲を生み、詩を生み、いろいろな芸術を生んでいく。東京藝術大学のこんにゃく体操で緩んだ脳が、そんなことを気付かせてくれました。

(授業レポート:斉藤友吾/写真:菅井玲奈)