授業レポート
2019/6/12 UP
ポリアモリーから考えよう〜私にとって心地よいパートナーシップ〜
ポリアモリーから考えよう〜私にとって心地よいパートナーシップ〜
「自分なりの心地よさになればいい」
本日の先生である「きのコさん」はそう話していました。
自分なりの心地よさという言葉は簡単なようで実はすごく難しいことを痛感しました。
なぜなら、私の生活にはTVやインターネット、SNSの影響で常にいろいろな情報が飛び込んできます。
その結果、誰かと比べたり、誰かに「よかったね!」承認してもらって安心している自分がいます。
顔の見えない「誰か」が決めたパートナーシップではなく、自分と自分の大切な人とのパートナーシップを考える。
今回の授業では、ポリアモリーという生き方を通して、きのコさんが大切にしていることを教えていただきました。
◆ポリアモリーのきのコさん
ポリアモリーとは、関与するすべてのパートナーの同意を得て、複数のパートナーとの間で親密な関係を持つこと(wikipediaより)だと言われており、きのコさん自身にも2人の恋人がいます。
1人は一緒にいて落ち着く、安心できる相手。そしてもう一人は全く逆の一緒にいるとトキメキを感じる相手。
この2人がそれぞれ大切なパートナーなのです。
この2人の好きを表す際、きのコさんは単位が違うという表現を用いていました。
例えば、同じ100でも、kgとメートルは全然違う。
どちらも好きだし大切だから比べられない。2人とも大事だから、2人と一緒にいたい。
シンプルな考えではありますが、周りからはなかなか理解されません。
「ビッチ」や「フリーセックス思想」と思われることも多いそうです。
でも、2011年より、「ポリアモリー」であることをカミングアウトし、自分の考えを発信しています。
カミングアウトした理由を、「一部の人に嫌われてもいいから、自分をわかってくれる仲間と出会えたらいい」と話していました。
◆嫉妬とかするの??
人にもよるそうですが、きのコさんも状況によっては嫉妬すこともあるそう。
でも、その気持ちも恋人たちと共有し、よりよいコミュニケーションにつなげています。
1対1の関係を希望する「モノガミー」という、考え方だったパートナーの1人に好きな人ができたときも、みんなで共有しました。
今までは他に好きな人ができたら、別れるかどうしようかと辛い気持ちになっていたが、打ち明けたときに「デートしてきなよ!」と、他の人も好きという気持ちを受け止めてくれたことが嬉しかったとパートナーから言われたそうです。
我慢せずに喧嘩したりしながら、向き合っていく。人は誰の所有物でもないから、「独占したい」という感情がわかない。
きのコさんの考え方はどこまでもまっすぐで、
自分らしさを大切にしています。
◆友達との違いは??
「友達」と「恋人」を区別する必要がないと感じている。関係に名前をつけるのが苦手で、両思いとなれば、それでよいのではないかと思っている。
キスや旅行、セックスは、付き合ったからできるパッケージみたいに思っている人もいると思うが、「旅行に行く」「セックスをする」を単品で楽しんでもいいと思っている。
付き合ったらすること、友達だからしないことの線引きって必要なんだろうか?
お付き合いパッケージではなく、自分のやりたいことを自由に選べるほうがいい。
きのコさんはそう話しています。
《グループワーク》
自分の中の「愛を感じる愛情表現」と「大切なもの」について考えました。
ワークシートに、自分にとって愛を感じた実体験での愛情表現を記入し、①〜⑤のどの愛情表現に当てはまるかを考え、優先順位をつけていきます。
そして、そのうち優先順位が高い1番目と2番目を同じグループの人に聞いてもらい、用意された言葉の中からピッタリくる言葉をチームメイトから選んでもらいます。
そして、その言葉にピンときたら、自分が大切にしたい言葉として、記入します。
例えば、頭を撫でてもらう行為が好き!となったら、「親密さ」や「ふれあい」などのキーワードを選び、伝えます。
発表者は、頭を撫でられるという愛情表現の裏に、相手との親密さを感じられること、ふれあいが自分にとって大切だということを理解します。
このように、愛情表現そのものではなく、その表現によって自分が大切にしていきたい価値観や考えを意識していきます。
私のチームでは、上質な時間を一緒に過ごすことで愛情を感じる方が多くいましたが、
その言葉の真意が「成長」「刺激」からくる人もいれば、「理解すること」「理解してもらう」から来る人もいました。
同じ愛情表現でも、大切にしているものが違うと、時にすれ違ってしまうことがあるかもしれません。
相手と自分は違う。
だから、常にコミュニケーションを取りながらお互いに心地よい関係を築いていくことが大切なんだと思いました。
◆大切なこと
きのコさんが今のような生き方になったきっかけに「ありのままの自分を受け止めてもらったこと」があります。
複数の人が好きだということを周りに隠し、自分を偽り続けた中で「あなたはあなたのままで良い」とパートナーに言ってもらえたことで、自分を肯定できるようになりました。
目の前にいる相手と私の考え方は違う。
自分と違う考えを聞いたときに、「理解できない」と扉を閉ざすのでなく、「どうしてこの人は、そう思うのかな?なるほど、そういう考え方もあるかもね。」
このやりとりがあるだけで、救われる想いはたくさんあると思いました。
それでも、なかなか違いを理解するのは難しいものです。
現に私も、ポリアモリーと聞いて、
私とはまったく違う考えの人だと勝手に決めつけていました。
でも、正直にパートナーと向き合い、良い関係を築いていきたいという想い聞き、誠実にパートナーと向き合っていることが伝わりました。
何より、今の方が幸せだと話すきのコさんを見て、自分の気持ちを言葉にできるって大切なんだと改めて考えることができました。
コミュニケーションの対義語は、拒絶なのかもしれません。
誠実に相手と向き合う姿勢は、パートナーだけでなく、子供や親子、友達関係にも共通しています。
大切な人が今どんなことを思っているか。
相手と自分ものさしを並べてみて、話してみる。
心地よいパートナーシップを知るために、まずは自分の声に耳を傾けたいと思いました。
レポート:伊藤扶美子