授業レポート

2019/3/27 UP

ソーシャルな法

~言葉と論理で社会を動かす~

“法”と聞いて、皆さんはどのようなイメージを持ちますか?

「お上によって与えられた規範」
「それを守ることで平和や秩序が保たれている」

私も、以前はそのようなイメージを持っていました。
しかしこの授業を受けて、法に対する捉え方が大きく変わりました。
弁護士の新田真之介先生をお迎えして行った授業の一部を、印象に残ったお話を交えてご紹介致します。

「医師免許を取得していない者によるタトゥー彫りは医師法に違反している」として裁判になった事案がありました。

タトゥー彫りが“医療行為”にあたるか否かが、最大の争点になりました。

そもそも医療行為とはどういった行為なのでしょう。
医師法17条及び1条の趣旨や法体系からすれば、医療行為とは、①医療及び保健指導に属する行為の中で、②医師が行うのでなければ保健衛生上の危害を生ずる恐れのある行為をいうと解すべきである。

タトゥー彫りの施術は皮膚障害等を引き起こす可能性があるという、上記の②の点で、検察側から医療行為であるとの主張がなされました。
しかし、皮膚障害等を引き起こす可能性というのはそれほど高いものではありません。
また、医師免許を取得するには何年もの時間と大きな労力が必要です。
にもかかわらず、結果的に第一審で、タトゥー彫りは医療行為であるとされ、有罪となってしまいました。

そのタトゥー彫り師の方は、控訴するために裁判費用をクラウドファンディングで集めはじめました。そこで見事、目標金額を超えるほどに資金集めをすることができました。
自分の裁判なのに、なぜクラウドファンディングが成り立つの?と思われるかもしれません。
その方は決して自分のためだけに裁判を起こしているわけではないのです。
日本全国のタトゥー彫り師の未来のために、裁判に挑んでいるのです。
自分がこの裁判で負けを認めてしまったら、検察の主張が正しかったことになってしまい、全国のタトゥー彫り師たちの自由が無くなるからです。

そうして始まった第二審ではタトゥー彫り師の方は無罪となりました。

様々な行為を規制してしまう社会では、人は生きずらい。

私たちは私たちの力で、法律や社会のルールを変えていかなければならない。
そうすることで様々な立場の人たちに対しても“寛容”な社会になって、生きやすくなるのではないでしょうか。

法は、私たちを縛り付けるものではなく、使い方によっては、より社会を寛容にし、私たちを生きやすくするものであるということを学んだ授業でした。

(レポート:鴨志田 和香奈、写真:榊原万莉子、堀部奈々)