シブヤ大学

授業レポート

2018/6/16 UP

ほぼ25歳が考える「    」の未来

"25歳"と聞いて、あなたは何を考えますか?
 
 多くの人が学生から卒業し、働き始めて数年が経っていたり、
周りには結婚や転職を経験する人がちらほらと出てきたり、
まだまだ若いと言われるけれども、このまま気づいたら歳を取っていくんじゃないか、と少し焦りを感じたり、

もしかしたら自分で一歩踏み出そうと新たに決意したりするタイミングでもあるかもしれません。
様々な人にとって、節目でもあり、少し立ち止まって考えたくもなる、
ちょっと特別な時期でもあると思います。


 今日の授業は「To the next generation」をキーワードにした特集テーマ"「   」の未来"の第一回目となる授業です。
先生は、多様な生き方・働き方を実践している7名の方をお呼びしました(全員「ほぼ25歳」です!)。
教室は、新たにリニューアルしたシブヤ大学の事務局。
場所は表参道・外苑前・千駄ヶ谷のどの駅からも徒歩10分ほど、落ち着いた街の中にあります。


 授業前半は、7名の先生に現在の仕事(活動)内容と本当に考えたい未来についてのプレゼンテーション、
後半は各グループごとにディスカッションが行われました。
学生から40代までを中心とした方々が生徒となって始まった授業は、最初から最後まで熱量のある場となりました。 


*実はこの授業の前に、参加者には宿題として「自分の考えたい未来とその理由」を提出してもらい、
その上で授業に参加していただいています。

 授業前には、参加者のみなさんも新たな出会いに期待を持って参加していた様子で、「今日はどうして参加したのですか?」という風に、教室のあちらこちらで自然と会話が始まっていました。
まだ授業が始まっていないのにも関わらず、参加者の雰囲気や会話の様子から、なんとなく温度感の高さを感じます。


一人ではなく、誰かと一緒だからこそ、より深く考えられることがある



授業コーディネーターの青木さんは、授業を作った理由をこう話します。

「日々いろんな情報が溢れ、せわしない日常を送ってしまうことが多いのですが、一方で、本当に考えたいことって気づいたらなかなか考える場がなかったりします。
この授業では、本当の意味で考えたいこと、そして自分はどうありたいのか、どう生きていきたいのかなど、
一人だけでは考えられない事を、安心して考えられる場になればと思ってつくりました。
今日は、誰かの思いを受け取り、次につながる縁をこの場から生み出せたら嬉しいです。」


▪ほぼ「25歳」の先生たち
先生役のほぼ25歳の7名から、考えたい未来について投げかけがありました。
松本一希さんは、「人と人との関係性」の未来
原山幸恵さんは、「自分の住む(働く)まち」の未来
中川晃輔さんは、「わたしとあなた」の未来
中村元気さんは、「プラスチック」の未来
合田文さんは、「マイノリティ」の未来
土肥梨恵子さんは、「家族」の未来
冨永真之介さんは、「25歳と日本国」の未来
それぞれの言葉で、どうしてこの未来を考えたいか、そしてその背景が語りかけられていきます。

同時に横では、グラフィックレコードでそれぞれの内容が絵として描かれていくのも見応えがありました。



(グラフィックデザイナーの田辺エリーさん。Instagram:@elie.visualdays)

後半は、事前に提出されたそれぞれが考えたい未来のテーマ
「家族」「地域」「自分」「学ぶ」「所属」「働く」「暮らし」
以上の7つに分け、下記3つの枠組みに沿って話し合いが行われました。
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①どうしてそのテーマを考えたいと思ったのか
②どんな未来が理想か
③そのためにできることはなにか
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ここでは、話し合われた内容から一部を抜粋して紹介します。


 ▶︎「働く」の未来について

このグループのメンバーは、新卒をフリーランスというキャリアから始めた人や
NPO代表、被災地で活動していた人、結婚を機にパートナーとの時間を大事にするためにこれまでの働き方を変えた会社勤めの女性(結婚前までは睡眠時間3時間×3年・・!)など、
様々な背景を持っていました。その中で共通していたのは
「仕事とプライベートをあえて分けず、同じ軸を持って行動したい」という点です。 
働くこと・遊び・活動・趣味・ボランティアなどを含め、根底には同じ価値観のもと動けたら良いよね、と。
ただ、そもそも自分の人生の中で何を選びとっているのかについて、自覚的に慣れていないことも多いかと思います。
共通する軸を持って生きていくためにも、まずは自分の選択について自覚的になること、選択した理由を言語化すること、そして、様々な視点でものごとを捉えることで自分の中の選択肢を増やし「サバイバル力」をつけていこう!と話していました。


▶︎「所属」の未来について

会場では、自らの体験をもとにLGBTや性的マイノリティの未来を考えたい人もいました。
彼らが立てた問いは、「マイノリティという言葉から解放されるには?」。
「そもそも、マイノリティという言葉自体が差別的なのでは?」
「“普通”って何?」
「違いを認め合える社会を実現するために、今できることはなんだろう?」
そんな議論を重ねながら出てきたヒントが、
「自分たちもグラデーションの中にいることに自覚的になる」ということ。
マジョリティとマイノリティの二分で大きく分けてしまうのではなく、人それぞれの価値観はグラデーションになっている。「自分も同じグラデーションの一部なのだ」という自覚を持つことから始まるのだと感じました。


*他5つのグループも、最初に提出した宿題のそれぞれが持っていた疑問から、
意見をシェアしていく中で一歩踏み込んだ意見が続々と出てきたことが印象的でした。


 最後に、参加者の方が言ってくれた感想を紹介します。



「それぞれの人生や違った価値観はあれど、
同じ時代の中で生きている仲間として、様々な問いを一緒に考えていきたいです。」


 一人一人の価値観はそれぞれ違いますが、
共通しているのは、同じこの時代に生きているということ。


今回授業に参加して思ったのは、
素朴な疑問や意見をシェアしながら、一緒に未来を考えていくことで、
いくつでも選択肢やアイデアは自分たちでつくっていくことができるのではないか、ということです。
同じ時代を生きている「仲間」として、ともに生きていくことを前提に問いをシェアしながら、
自分ができることを一つずつ実践していきたい、と強く思いました。


 



(ボランティアスタッフ:深澤まどか)