捏造された“世論”〜映画『チョムスキーとメディア』が伝える真実〜

ノーム・チョムスキー。この人物は、今もっとも世界で重要な発言を繰り返している思想家。アメリカ・マサチューセッツ工科大学の言語学者ですが、アメリカの外交政策やグローバル資本主義を真正面から批判する、稀有な思想家として各界からも注目を集めています。ロックバンド・U２のボーカル、ボノいわく＜飽くなき反抗者＞。
チョムスキーの発言は、主に「マスメディア」について。“自由競争”を建前とする現代の民主主義国家におけるプロパガンダは、政府による検閲や悪意による報道の歪曲ではなく、マスメディアが持つシステムそのものによって“ごく自然に”行われている、と彼は分析しています。
今回の授業は、ユーロスペースにていよいよ公開される映画『チョムスキーとメディア』を題材に行います。チョムスキーに造詣が深く、名著『マニュファクチャリング・コンセント』の翻訳者である中野真紀子さんと、テレビ番組『CBSドキュメント』でお馴染みのピーター・バラカンさんをお迎えして、チョムスキーの思想とメディアについて解読していきます。「アメリカも日本も民主主義。メディアは意見を言う自由を確保されている」と思っている私たちへ投げかけられた＜飽くなき反抗者＞からのメッセージ。変化をもたらす力は私たち自身の手にある。そんな希望を投げかける彼のもうひとつの名称は＜アメリカの良心＞。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

特別ゲスト：ピーター・バラカン　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 1974年に来日。シンコ−ミュージック国際部で、英米の会社に向けてビジネスレターを書く仕事を担当。6年後、YMOのマネジメント事務所に転職し、YMOの海外コーディネイトや楽曲の英補作詞を担当。その後独立し、ポピュラー音楽に関する豊富な知識と物腰柔らかい流暢な日本語を生かし、放送業界にも進出。TBSテレビ「ポッパーズMTV」をはじめ、テレビ・ラジオの音楽番組パーソナリティを数多くつとめた。決してメジャーではなくとも良質な海外の音楽を紹介し、そのセンスは音楽ファンから高い評価を受けている。ラジオなど音楽番組のパーソナリティを担当する一方、TBSテレビ「CBSドキュメント」において司会をつとめるなど社会派の一面を持つ。