それでも生きる子どもたち
~タイ映画『デック子どもたちは海を見る』から考える国際協力~
プロジェクターに映し出された映像。
「お父さん。学校に行かせて。」
ビデオカメラに涙ながらに訴える少女は10歳位だろうか。
貧困が原因で教育を受けられないタイ山岳民族の少女。
子供たちが売買される。自分の娘を2000バーツで売ってしまう親。
しかしその親も数字・文字がわからなく、実際は200バーツでやりとりされているのに気がつかない。
そういった子供たちが国境を越え孤児院にたどり着く。
タイ・アユタヤにあるワットサケオ孤児院にはそんな孤児が2000人いる。
驚くのは、その子供たちの面倒を見るのが大人5人だけという事実。
3~16歳の子供たちが暮らしているが、学校があるわけではない。病院があるわけではない。
だから、ケガをした子供がいても、血を流して倒れているだけ。
誰も手を貸そうとしない。というより、どうしていいか分からないのだ。
国籍がない彼らは、その国の国民として認められず、山岳民族として暮らすことを強いられていた。
その状況を打開するため、メートー学校という山岳民族の学校を支援しているNPO代表が今回の近田先生。
貧困の原因が、教育が無いことによる負の連鎖、という考えの元に1991年から活動をしていらっしゃるそう。広告代理店、テレビ局、…NPO国際協力団体という経歴から、話し方も意見も真っ直ぐな方という印象だった。
映像の最後に、先生からこんな質問が
「もし、あなたが学校に行くことができていなかったら、今のあなたはどんなあなた?」
※ 小学校1年生に入学したときの自分の姿を思い出してください。というもの。
みなさんも思い出して欲しい。
嫌々に学校に行った思い出はないですか?当たり前のように学校に通っていませんでしたか?
もちろん、私もそうでした。学校は行くもの、学校はあるもの、だと。
そして、もし教育を受けていなかったら…。いまこうやってインターネットを見ることもできなかったし、働くこともできていないかも知れないし、今社会で生きていないかもしれない。
学校に行きたくなくて自殺をする子。勉強なんてしなくてもいい、という歪曲した教育が行われ自由を履き違える子。一方で、学校に行けなくて死んでしまう子。勉強をしたくてたまらないのに、学校が無い子。そんな子供たちがいる世界が、いま同じ地球上にある。
世界の20%の人が世界の80%の食料を食べてしまっている事実。初等教育を受けられない子供が1億人いる事実。飢餓が原因で無くなる子どもが5秒に一人。飢餓人口が8億5000万人に対し、肥満人口は10億人いる事実。日本の生活は輸入に頼っている事実。20億人が2ドル未満で暮らしている事実。250人の孤児院で食事の前に手を洗う水は桶2つだけという事実。
声がでなかった。
世界一貧困な国シエラレオネは、皮肉なことにダイヤモンドの生産国。しかしながら500万人の人口のうち100万人がホームレス。平均寿命は男性32.95歳、女性は35.90歳(1995)。外国でお金になるとも知らされない「ただの石」のために手足をなくす人がいる。この事実は、フェアトレード以上に先進国の皆に知ってほしいと思った。「結婚指輪は給料の3か月分」。そんな広告のキャッチコピーに踊らされる日本人にはなりたくない、そう思った先生のイヤリングはずっとガラスだという。
貧困をなくすためにはどうすればいいか。それは、何か「物資を提供する」のではなく、自立支援できる教育をすること。魚の取り方、網の作り方、植物の育て方、計算の仕方。一日で終わらない、持続的な何かを現地に残すことが大切だと先生はおっしゃっている。
青空教室だったメートー学校も困難を乗り越え、徐々に大きくなり高校進学率も0%が80%になった。卒業生2人が大学に行き、教師として戻ってきてくれるという嬉しいサイクルもできた。現地の校長が自力で日本大使館に申請し助成金を頂いて新校舎ができたそう。学校ができることで、教育体制が整うことで、明らかに事態は好転している。先生の説得力あるリアルな話を聞いて素直にそう思えた。
最後にグループにわかれ、“もし、自分が海外協力するならば何ができるか”というグループワークを行った。SWOT分析といわれる内部的な「Strengths(強み)」「Weaknesses(弱み)」と、外部環境の「Opportunities(機会、チャンス)」「Threats(恐れ、脅威)」の4つのカテゴリーに分けて自己分析を行い発表した。その中で、私の一番の発見は「日本人であり教育を受けていること」だった。今の仕事の能力を生かせることもあるが、それができるのも教育を受けてこられたから。特別なことではないが、日本に生まれたことが幸せなことだと思え、意識していなかった分、発見だった。
だからこそ、海外協力を難しく考えることはない。
募金をすること、フェアトレード商品を買うこと、海外旅行の一回を途上国にして現地を知ること、情報収集をして就職先に国際協力団体に関わること。教育を受けた私たちは、自分のレベルに合わせてすぐに行動できる。そのことを知ることができた授業だった。
最後の先生の言葉は、「無関心を捨ててほしい」。
日本人の私たちにどれだけ届くだろうか。
(ボランティアスタッフ 鈴木高祥)
※2:抽選後、定員に満たない場合やキャンセルが発生した場合は、5月15(木)0時まで先着順でお申し込みを
受付いたします。
年を重ねるたびに聞くようになる台詞ですが、日本人が受ける平均教育年数は約12年強。それと対照に、世界中で学校に行けない子どもは、一億人もいるとされています。
その理由は、家庭崩壊、麻薬、紛争、エイズ、人身売買…など様々ですが、全てに共通する原因は“貧困”。そして、貧困のサイクルから抜け出せないのは、“教育”を受けられないことが大きな原因です。
発展途上国と言われてきた中国、インドなどの経済が目覚しく発展しはじめた21世紀。
しかし、経済の発展は都市部に限られ、経済格差から遠隔地の貧困はさらに深刻度を増しています。中国、インド、アフリカ諸国に先立ち、顕著な動きが出たアジアの中でも、タイの首都バンコクは30年も前から格差が起こっている場所です。
高層ビルが立ち並び、近年急速に近代化が進みはじめたバンコク。そんな大都会のすぐ傍に、『ワットサケオ』という2,000人を収容する巨大孤児院があります。収容されているのは山岳少数民族の子どもたち。国籍を持たないため、タイの国からは何の福祉を受けられず、面倒を見る大人は、たったの5人。衛生状態も悪く、生活状況は悲惨としか言いようがありません。都会と山奥の大きな経済格差が貧困を生み、家庭崩壊の結果見捨てられていく子どもたち…。アジアを旅行して、そんな現実を目の当たりにした日本人3人が、「なんとかして子どもたちに“教育”を」という想いのもと、タイへの国際協力をはじめました。
「どんなに貧しい中でも、支えあい信頼しあって生きる子どもたちの姿は、現代の日本で私たちがいつの間にか、どこかに置き忘れてきたものです」と話すのは近田真知子先生。
今回の授業は、『デック子どもたちは海を見る』という小さな山の学校のドキュメンタリーフィルムを題材に、タイ山岳民族の現状を学びます。『NPO地球市民ACTかながわ/TPAK』を設立した近田先生は、学校農園、寮建設、衛生教育などの様々な活動を行っています。国際協力の一歩を踏み出してから17年が経った現在、先生が活動を始めた地域では0%だった中学進学率が100%になり、小学生だった子どもは先生になって村に戻ってきました。
「大切なのは、他人の幸せを祈るその気持ち、人を思いやるその温かさ。人は、生まれる場所を選べない。でもつながりあい、支えあうことが出来れば、地球はもっとバラ色になる。」
自分に何ができるのか。そんな迷いや葛藤の中でも、ほんの少しでも行動を起こさなくては何も起こりません。
「国際協力に始めの一歩を。」と思っている方。ぜひ、一緒に考えてみませんか?
【授業の流れ】
■15:00 講義
■16:00 ワークショップ「SWOT分析(※):私の中にある国際協力の要素」
(※)組織や個人における強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) を評価するのに用いられる戦略計画ツールの一つ
■17:00 終了
今回の教室:「幡ヶ谷社会教育館」
最寄り駅:京王新線幡ヶ谷駅北口下車 徒歩5分
渋谷駅始発の都バス阿佐ヶ谷駅行(15番のりば/渋66系統)・「幡ヶ谷」下車徒歩5分
渋谷駅始発のコミュニティバス(ハチ公バス)・「6号通り」下車すぐ
<バリアフリーに関して>
建物玄関口からのスロープ、館内エレベーターなどは設置しておりますが、点字タイルはございません。目が不自由な方は、事前にシブヤ大学事務局までご連絡いただくか、当日シブヤ大学スタッフまでお声がけ下さい。
<当日の連絡先について>
電話:080-5542-2820 (※注)
(※注)
①授業当日午前8時以降にご連絡頂きますよう、お願いいたします。
②やむを得ない場合の当日キャンセルのご連絡の場合のみ、おかけ頂きますよう、お願いいたします。
1973年設立の区民の自主的な学習・文化活動の場を提供するための施設。地下1階、地上4階建てで、学習室・料理室・和室・音楽室などがある。シブヤ大学の他にも学習・文化活動のきっかけ作りのために「講座・教室」を開催しています。



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