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こうした“前提の変化”に伴い、行政的にも、個人を支えるという新しい制度設計に取り組む方向を、厚生労働省は2017年に掲げた「地域共生社会」というコンセプトで示しています。このコンセプトは、行政のみならず、医療や雇用などのサービス、そしてコミュニティや家族など、それぞれが、個人が幸福を追求できるように個人を支えるという構図です。このように個人が生活を営む地域にある産業や医療も含めて、また、SNSなどの新しいコミュニティのあり方も含めて、地域福祉を基盤とする構図へと変わることが必要ではないかと野崎さんは指摘されました。
「ただ大事なのは、「“制度では持続できないから、住民にお願い”という訳ではない。むしろ市民の協働のもつ力から生まれてくる福祉の力への眼差しを持った上で生まれる協働が起こりやすいよう環境を整えていくにはどういう政策が必要なのか」と野崎さんが自問されたように、福祉事業者や私たちも含めて試行錯誤していく段階なのではないかと思わされます。

都市想像会議第十四回「地域福祉×都市①」会場

実際、すでに行なわれているさまざまな地域市民や福祉施設が交わる中で行われている取り組み事例が多々あります。野崎さんは、東京都大田区の地域包括支援センターによる「みまーも」、大阪市の「暮らしづくりネットワーク北芝」、町田市のDAYS BLG!、滋賀県東近江市、香取郡多古町などなどをご紹介いただきました。「地域共生社会はあくまでもコンセプトですが、そこで実現しようとしている世界は、まさにこれらの地域で実践されている地域福祉であり、地域の活性化であり、人々が繋がる中でむしろ地域の暮らしを支えていくことをやって行きたいということです」と野崎さんは述べています。医療は医療だけ、産業は産業だけ、といったような縦割りで考えるのではなく、横に繋がるところにヒントが生まれていきそうです。

都市想像会議第十四回「地域福祉×都市①」会場の皆さん

終了後も野崎さんへの質問が途切ず、関心の高さを感じました。次回からも具体的な取り組みを行なっている方々に来ていただき、地域福祉について考えて行きたいと思います。

都市想像会議第十四回「地域福祉×都市①」記念写真

最後にみんなで恒例の記念撮影。

より詳細な内容は議事録をご覧ください