海外では、公共空間と人々が楽しげに交錯している風景がよく見られます。伊藤さんが紹介してくださった「ロワイヤル・ド・リュクス」による都市を舞台にした大きな人形の物語や、アヴィニョン演劇祭の街角で行われる大道芸やパフォーマンスが行われています。日本の都市は広場が少なく、道路が多いので、なかなかそうした空間を日常的に感じることはできません。恵比寿盆踊り大会や渋谷ズンチャカ!は、ロータリーや路上、公園などを使ってそうした風景を生み出していこうという試みであり、まちと人が交歓するためのソフトウェアといえるでしょう。
同時に、こうしたソフトウェアを稼働させるための都市空間はどうあったらいいのでしょうか。現在、渋谷駅周辺では大規模な開発が進んでいます。東浦さんが紹介してくださった渋谷駅周辺の開発計画は、これからソフトウェアとハードウェアを合わせて考えていく段階に来ているのだそうです。
佐藤さんが紹介してくれたヘルシンキのリハーサルハウスは、公園の一角にあり、劇場で行われるオペラや演奏会などのリハーサル用のこぢんまりとした施設で、中でリハーサルを聴くこともでき、公園に向かって扉を開いて行うこともできるのだそうです。佐藤さんは、渋谷にもリハーサルハウスをつくりたいそうです。また、渋谷駅周辺の開発中の工事現場も活用できるのではないかと提案されました。