シブヤ大学

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キャンパスライフ

イラスト
嶋村千夏さん

FILE.08

嶋村千夏さん

(ボランティアスタッフ、畑ゼミ「tane」代表)

“畑とかエコとか、何でも
楽しむことが一番大事。
みんなに環境について知ってもらえる、
楽しいきっかけをつくりたい。”

2007年にボランティアスタッフとなり、08年には「野菜デス。」の授業をコーディネート。そして09年には恵比寿キャンパス畑ゼミ「tane」の代表者となり、ゼミ生と一緒に畑のつくり方を学んでいる嶋村千夏さん。年を追うごとにシブヤ大学との関係を深める彼女に、お話を伺いました。

Q:

シブヤ大学に関わるようになって3年目ですね。今までで強く印象に残っている授業、自分が影響を受けた授業などはありますか?

嶋村:

chinatsu_11.jpg 「ぼくと戦争と無力感。」っていう授業は忘れられないな。戦争に連れてかれちゃう子ども兵の話で、少年兵や地雷の問題に取り組む「テラ・ルネッサンス」ってNPOの、鬼丸さんていう人が先生だったんだけど、すごく話が上手くて、重めな題材のわりにはポジティブに話を聞ける人だったの。だけどやっぱり後半はだんだん深刻になって。先生は実際に現場を見てるから臨場感にもあふれてて。生徒さんが泣いちゃったりとか、私も後ろの方で泣いてたし。でね、その授業が良かったのはもちろんなんだけど、一緒にボランティアスタッフに入っていた松本浄さんのその後の行動がすごく心に残ってて。

Q:

どんな行動だったんですか?

嶋村:

chinatsu_21.jpg 授業のレポートってボラスタが書いていて、出来上がったら事務局の水本さんにメールで送るんだけど、浄さんは「宛先を間違えた」風にしてボランティアスタッフ全員のメーリングリストに送ったのね。スタッフのみんなに読んでもらうために。
この授業で鬼丸さんが「問題とか課題っていうのは、認知されない限り問題や課題にもなりません。認知されて初めて、解決しようとする力が生まれます。」って言ってたの。戦争の現場にいる子どもたちに対して何もできないっていう無力感しか残らないけど、まずみんなに事実を知ってもらわないと何も始まらないって。あー、その通りだな、じゃあ自分はどうやってそれを広めようって考えてた時だったから、すぐに実践していた浄さんにすごく刺激を受けて、私はそのメールに一人でウルウルしてた(笑)
それとね、鬼丸さんの「認知されない限り課題にすらならない」って言葉は環境にもつながるなって思ってて。
私、大学で環境学科にいたんだけど、私が入学した頃って今ほど「エコ」って言葉も浸透していなかったから、「環境学科に入りました」って言うとみんなに「えっ!?」って言われる感じだったのね。地球の危機的な状況をみんなに伝えたいって想いで入ったからそれが悔しくって、最初は「絶対オーガニックじゃなきゃダメ!」みたいに、すごい正義感振りかざしてた(笑) でも、そればっかりが正しいわけじゃないんだなって考えるようになったのはシブ大のおかげだったんだよね。

Q:

「そればっかりが正しいわけじゃない」とは、どういうことですか?

嶋村:

chinatsu_31.jpg エコは大事なんだけど、エコにばっかり気を取られるのもちょっと違うのかなって。そう考えるようになったきっかけは 「シブヤ大学ツーリズム」だったのね。シブ大初のツーリズムで田植えに誘われて、遠足気分で行って。その時はまだ全っ然農業に興味なかったんだけど、やってみたらもう、ホント楽しくて。土に触れるのっていい!環境問題について考えるのもいいことだけど、土を触ればカラダで感じ取れるから。自然は全て語ってるんだよね。
で、その後もツーリズムを通していろんな人の畑手伝ったり、農家の人の話を聞いたりとかして。何か、いろいろあるんだなって思った。有機農法でやってるところもそうじゃないところもあるし。
で、畑に興味持っちゃったばかりに、大学の卒業旅行を兼ねて1ヶ月間、熊本の農家を転々とする旅をしたのね。完全な有機農法をしてる家は一つも無かったんだけど、それで食べていく人たちにとっては、たくさん収穫しないといけないわけで。心を込めて野菜を作る、その想いはどこも同じで、そんな家族を目の当たりにして、完全な有機野菜じゃないとダメって考えるのも何か違うのかなーと思った。

Q:

シブ大やゼミを通して、これからどんなことをしていきたいと考えていますか?

嶋村:

chinatsu_41.jpg やっぱり、まず知ってもらうことが大事だなって思うのね。考えを押しつけるんじゃなくって、知ってもらう。たとえば野菜を育てるのも「食費が浮くわ」ぐらいの軽い気持ちで始めてみるのでいいの。それでも毎日土に触れて癒されたり、排気ガスで植物の元気がなくなっちゃったりとかするのを見ればいろいろ考えるきっかけになるでしょ。
だから知ってもらうきっかけの、敷居の低い第一歩をつくることが大事だし、これからもやってきたいって思う。畑のやり方を学ぶ「恵比寿キャンパス畑ゼミ『tane』」も、そのきっかけの1つになったらいいな。若いうちから農業に気軽に触れておくだけで、たとえば定年後に畑やってみようかな、とか選択肢が増えるじゃない。その先に。そーゆー風に「tane」や「ベランダやさい学科」がきっかけになれるとステキだなって思う。
それで実際に自分で作ってみると「この野菜はこの月にしかできないんだな」とか、有機農法だと虫に食べられちゃって全然収穫できないとかってこともわかる。イチゴが冬場に売ってたら、無理して作ってるんだなとか。けど「環境に負担をかけてるから冬にイチゴを食べちゃダメ」って我慢するわけじゃなくってね。堅苦しく考えると何もするきっかけがなくなっちゃうし長続きしないから、もっと気楽でいいの。みんな、自分の満足する、気持ちのいい生き方をした上で、選択肢の中で「より季節のものを食べよう」とか「エコな方を選ぼう」とかで。無理はしない。これ、ちなつ持論です(笑)

プロフィール:嶋村千夏さん(しまむらちなつ)

1985年生まれ、千葉県船橋市育ち。武蔵野大学人間関係学部環境学科卒業。野菜が好きで、「tane」ゼミ代表として畑のやり方を学ぶほか、自宅のベランダではゴーヤーを栽培している。苦手な野菜はセロリとパクチーだが、パクチーはほぼ克服。いつかはセロリも好きになりたいと考えている。

(2009/07/09 | インタビュー松本典子|撮影oyabin SATO 親瓶さとう)

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