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河村めぐみさん
(アサヒビールお客様生活文化研究所、ビール醸造ゼミ仕掛人)“多様な知恵や考え方を受け入れて視野を広げるって大事。 ゼミをやって、モノゴトを見る目や感じ取る気持ちが、少し変わったと思います。”
「シブヤのビールを作ろう」をテーマに、アサヒビール株式会社とシブヤ大学がコラボレーションして生まれた「ビール醸造ゼミ」。その企画立案から授業の運営までゼミを見守り続けてきた河村さんに、ゼミを作ることになったきっかけと、その成果について伺いました。
まず『ビール醸造ゼミ』はどんな活動のゼミだったのか教えてください。
みんなで「シブヤとは何か」を考え、シブヤ大学オリジナルのビールを実際に作ってしまおうという内容のゼミでした。
2008年7月に始まって、全部で6回だったかな。クリエイターの紫牟田伸子さんを先生に迎えて、ガイダンスで選ばれたゼミ生の皆さんが商品のコンセプトや味やネーミングを考え決めたんです。ゼミではいろんなビールを試飲しビールそのものについて議論したり、実際に渋谷の街を歩いたりしてもらったり。そして最終的に5グループでコンペをして選ばれたのは、『トナリニ』という「誰とでもゆっくり飲める」がコンセプトのビールでした。よくある「ごくごく飲める」ビールといったアプローチとは違って新鮮でしたよ。それから弊社のグループ会社の地ビール工場(隅田川ブルーイング)の醸造技師と一緒に、「草原を駆けぬけた後のカモミールのような味」といった『トナリニ』のイメージを具体的な味に変えていく作業をしました。
ビールのコンセプトづくりなんて皆さん初めての経験だったと思いますけど、私たちが思いもよらないアイデアがいっぱい出て面白かったです。しかも毎回ビールを飲みながらだったし(笑)。
今回のゼミを作ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
ゼミ開設の少し前、世間で「若者のアルコール離れ」が大きな話題になっていました。でも本当にそうなのかな? こういうことって直接話さないと実際はわからないなって考えてたらシブヤ大学のことを思い出したんです。以前、私たちが運営する「青山ハッピー研究所」というウェブサイトのインタビューコーナーで左京さんにインタビューしたことがあり、個人的に興味を持ってたので。それでシブヤ大学とアサヒビールで一緒に何かできないかなと、ご相談に押しかけたんです。
そしたらシブヤ大学のスタッフの皆さんから「河村さん、そこまで言うなら、おいしいビールの飲み方とか、製造方法や素材のこととか教えてくださいよ」と言われたんですね。えっそんなこと!? って感じでとても驚きました。
世の中の若い人たちがそんなことを知りたがってると思わなかったんですよね。そうか、美味しいビールの注ぎ方とか知らないもんなんだ!とか、私たちにとっては製造の知識を知っていることは当然すぎて、案外、本当の原点にあることを伝えてなかったのかもしないと。それじゃあ、ビールのことを知ってもらうゼミを作ろうと決めたら、それからもう次々にアイデアが浮かんで。「もうこれ絶対やる!」とか思って、渋谷から青山の会社まで走って帰りました(笑)
ビール醸造ゼミを実際にやってみてどうでしたか?
ゼミ生の皆さんが、本当に「言葉」をたくさん持っているのに感心しましたね。多弁とか寡黙とかではなく、本質的な感性の部分が豊かだなっていうのを感じましたし、実際にゼミの活動からは想像以上のものがたくさん生まれました。
たとえば「代々木公園をまるごとパブにしたい」なんて面白いコンセプトが飛び出たり。それぞれの職業も多彩でしたから、『トナリニ』のロゴデザインやラベルの文章までほぼ全部、ゼミ生たちが自前で作っていたり。予想しなかった展開ばかりで本当にびっくり。
それぞれの人が一番いい意見を言えるような「場の空気」があると、お互いの発言をヒントにしてアイデアが生まれるんですね。ゼミは初めての試みだったから、その空気づくりが最初はとても難しかったんですけど、今回は紫牟田さんと授業コーディネーターの今村さんに助けられ、すごくいい相互作用が生まれました。やっぱり一人一人の多様な知恵や考え方を一度受け入れて視野を広げることって大事なんですね。モノゴトを見る目や感じ取る気持ちが、少し変わったと思います。
最初はお互いに緊張していたビールゼミの仲間も、最後はすごく仲良くなって、ゼミを解散したくない!って(笑)。結局、解散したんですけれど、今は元ゼミ生同士でビールサークルを作ろうって話があるみたいですよ。
実は私ももう一回やりたいなと思っていて、今ちょうど、次のビールゼミを計画中です。個人的には、企業がもっと市民や行政と一緒に社会の課題へ取り組み、世の中をハッピーにできたらいいなって思いがありますので、シブヤ大学との連携がNPOと企業の協働モデルになるよう、社内の理解を得ながら前回より慎重に進めています。2回目のプレッシャーもありますけど、より面白くて意義のあるビールゼミを実現したいですね。
アサヒビールお客様生活文化研究所プロデューサー。90年にアサヒビールに入社。ビール営業を経て、94年から企業のメセナ活動を8年間担当。 コンサートの企画ほか、市民の芸術文化活動支援等を担当する。その後、営業現場の総務部門を経て07年から現職。生活者のライフスタイルを主に調査研究している。
(2009/05/14 | インタビュー 松本浄|撮影 恩蔵歩実 他)
インタビュー一覧
- 齋藤睦美さん(シブヤ大学 学生)
- 狩野元彦さん(シブヤ大学インターン生)
- 中野安季子さん(シブヤ大学 学生)
- 柴崎俊男さん、市川兼司さん(東急ハンズ、「教えてハンズ」シリーズ仕掛け人)
- 生姜塚理恵さん(ボランティアスタッフ)
- 加藤慎康さん(大ナゴヤ大学 学長)
- 高田誠一さん(シブヤ大学 学生)
- 杉山あゆみさん&子竜くん(シブヤ大学 学生)
- 松本初夏さん(ボランティアスタッフ)
- 吉田安廣さん(恵比寿ガーデンプレイス勤務、恵比寿キャンパスサポーター)
- 佐藤隆俊さん(授業コーディネーター)
- 松田高加子さん(「映画音声解説ゼミ」先生)
- 岩佐堅志さん(街の先生、雅楽演奏家)
- 大谷紀子さん(シブヤ大学学生、ココロゼミ生)
- 新谷比佐さん(恵比寿キャンパス 授業コーディネーター)
- 嶋村千夏さん(ボランティアスタッフ、畑ゼミ「tane」代表)
- 上田晋さん(恵比寿キャンパス 運営スタッフ)
- 西村信子さん(シブヤ大学学生、シブヤ補講)
- 近井祐美子さん(ボランティアスタッフ)
- 河村めぐみさん(アサヒビールお客様生活文化研究所、ビール醸造ゼミ仕掛人)
- いしのももこさん(「子供限定授業作り 食育ゼミ」ゼミ長)
- 原田萌さん(シブヤ大学学生、シブヤ大学キャンパスマップつくり隊 隊員)
- 野原邦彦さん(音声解説ゼミ生、シブヤ大学の作り方学科生)



