シブヤ大学

  1. Home
  2. シブヤ大学について
  3. 参加方法
  4. 授業・レポート
  5. 先生
  6. キャンパスガイド
  7. ゼミ・サークル
  8. サポート制度
  9. 姉妹校

キャンパスライフ

イラスト
中野安季子さん

FILE.21

中野安季子さん

(シブヤ大学 学生)

“授業で先生の話を聞ければいい。
最初は、そう思ってただけでした。”

中野安季子さんはJリーグファン10年のサッカーマニア。社会人として働きながら「日本ブラインドサッカー協会」で精力的なボランティア活動もしている。現在の活動に飛び込むきっかけが、シブ大の授業だったという彼女。その背中を押した授業とは、どんな内容だったのだろう。


Q:

シブヤ大学ではどんな授業に参加したのでしょうか?

中野

burasaka4.JPG去年の秋、「サッカーで飯を食う。」って授業がありました。その授業コーディネーターに川内イオさんの名前を見つけて。私、川内さんが書いた『サッカー馬鹿 海を渡る』って本が大好きなんです。何のコネもなくスペインに渡って、現地でどうにかサッカーの仕事を手にした人たちのインタビュー本なんですけど。自分は今、広告に関わる仕事をしていますが、いつかはサッカーの仕事をしたいと思っていたから、本に出てくる人たちや川内さんに憧れがありました。だから、授業に気づいてすぐ申し込んで。それまでいつも抽選でハズレだったのに、このとき初めて当選したんです!
授業では2人の先生が実体験を話してくださいました。まさに私が聞いてみたかったことばかり。向こうでライターになった小澤さんも、トレーナーになった山田さんも。今では有名ですけど、紆余曲折あったという話に、ああ、すごいなぁって。とても刺激されました。


Q:

そこからブラインドサッカー協会のボランティアに?

中野

burasaka2.jpgその授業の日、同じ会場で、まさにブラインドサッカーの体験授業もあったのですが。私、気づいてなくて(笑) 協会の人にもよく「体験授業に出てくれたのね」って言われましたけど、そうじゃないんです。
授業の直後に、川内さんや先生方に挨拶できそうな時間があったので、名刺の裏に「私は本を読んでスペインに行きたいと思って、絶対にスペインに行くんです」って書いて渡しました。そしたら話を聞いてくれて「何でも力になるよ」って。いや、もう、こんな普通に会話してくれると思わなかったから嬉しくて。それに、ほかの生徒さんたちも同じようにサッカーの仕事を目指して頑張ってる人ばかり。そういう人たちと知り合えたことがすごくて。授業の前は、先生のお話を聞ければいいと思っていただけなのに。一歩動くだけで、こんなにいろんな人に会えるんだって。学んだというか、わかったんです。
その後しばらくして、ブラインドサッカー協会のことは別の本で知りました。興味がわいて協会のツイッターをフォローしたら、そのうち広報ボランティア募集ってツイートが来て。もう、ガツガツ自分から飛び込もうって気持ちがあったから。興味ありますって返事して、そこからボランティアを始めました。


Q:

お手伝いしているブラインドサッカーとは、どんなサッカーですか?

中野

burasaka3.jpgブラインドサッカーは、フットサルに近いです。5対5で、フィールドは壁に囲まれています。ボールには鈴が入ってるから、転がると音がします。空中でもかすかにシャンシャン鳴って。皆さん音に反応してプレイするんです。アイマスクをするので晴眼者も参加できますけど、メインは視覚障害者の方ですね。
試合会場の手伝いに行ったとき、私は初めてプレイを見たんですけど。もう、びっくり。すごく激しいんです。シュートは速いし。キーパーは目の見える人なのでバンバン止めに行くけど、ゴールすみに決まったり。この夏には、日本代表の川島選手が率いるプロサッカーチームとの試合があったんですけど。向こうはアイマスクしちゃうと全然動けなかったので、2タッチのハンディで、かわりにアイマスクをはずして。見える状態でやったんです。でも勝っちゃって! 目が見える相手、しかもプロに勝ったんですよ。とにかくすごいんです。
そもそも協会に入った当時は私、下心まるだしで「とにかくサッカーの仕事に関わりたいから志望した」みたいに言ってて(笑) 障害者さんに対する考えとかもなかったんですけど。今は「障害って呼ばれるのは個性なんだ」と思うし、実感しています。ホントに。中学時代からサッカーマニアしてる私が見ても、プレイがすごい。障害があるのに、じゃなくてすごい。応援する気持ちというか、自分にできることはないかって考えるようになりました。
今年の12月にはアジア選手権があります。日本はまだブラインドサッカーでパラリンピックに出たことがなく、初出場を賭けた大会です。ほかにも体験会やイベントは毎週のようにありますから、サッカー好きの人はぜひ一度、見に来てほしいです。


Q:

サッカー関連で、これからやりたいと考えていることなどありますか?

中野

burasaka1.jpgじつはやっぱり、スペインに行こうと思っています。協会の手伝いを始めてから、サッカー業界のさまざまな人と会う機会ができました。「スペインに行きたい」って言うと、「遠回りだ」「そんな若者たくさんいる」って否定的な意見が出ることも多いんですけど。でも私、頑固なんです。川内さんの本を読んだときから、漠然とだけど、決めていたから。行かなきゃ始まらない。そういう思いが強くて。
出発する日も、ホントはもう、決めてます。9月の下旬。もうすぐなんです。まずは3ヶ月くらいで文化とかきちんと学び、持ち帰って。いずれは日本でサッカー関係の仕事がしたいと思っているんです。ブラインドサッカーに関われたことは、とても大きなプラスになりました。イベントでさまざまな人に会って、クサイ言い方ですけど、たくさんの笑顔を見て、私はやっぱりこういう仕事がやりたいんだって。いっそう強く感じることができましたから。
会社は辞めちゃうし、帰って来た後はどうしようって不安もありますけど。私、楽観的だし、大丈夫だと思います。この前、川内さんに「私、行きます」ってメールして。「何か困ったら言ってくれ」って親切で心強い返事をいただきました。なんというか。今の自分の始まり、きっかけとなった人に、行きますって伝えられること。そのことがまず嬉しくて。あの授業に出れて良かったなあと感じました。これからは、向こうでいろんなこと勉強してきたいと思ってます。

プロフィール:中野安季子さん(なかのあきこ)
日本ブラインドサッカー協会ではメルマガを担当。イベント設営なども手伝っている。2001年前、サッカー好きの父と一緒に代表戦を見て、鈴木隆行選手に一目ぼれ。以来、選手好きから、チーム好き、Jリーグ好きにと、順調にサッカーマニアの階段を駆けのぼる。かつてのミーハーな気持ちも大切にしたまま、将来はサッカー業界を盛り上げたいと考えている。

(2011/09/26 | インタビュー松本浄)

インタビュー一覧