シブヤ大学

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キャンパスライフ

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加藤慎康さん

FILE.18

加藤慎康さん

(大ナゴヤ大学 学長)

“名古屋の人たちがつながって
みんな一緒に創りあげる。
そういう場にしたいです。”

2009年の9月に開校したシブヤ大学の姉妹校、大ナゴヤ大学。行政からの資金に頼らず、市民からの寄付金を基礎に、シブヤ大学とは少し違ったスタートを切りました。その開校に尽力した学長の加藤慎康さんへ、大ナゴヤ大学のことと、その活動の展望を聞きました。

Q:

大ナゴヤ大学のことを簡単にご紹介ください。

加藤:

18_v_01.jpg 大ナゴヤ大学は、2009年の9月に開校し、毎月第2土曜日に無料公開講座をやっています。もともとは、僕をふくめ3人のメンバーが別々に「シブヤ大学のようなことを名古屋でもやりたい」って問い合わせして、シブヤ大学の近藤ナオさんがその3人を会わせてくれたことが始まりでした。その後、第一期の「シブヤ大学のつくり方学科」を経て、名古屋の市長さんをはじめ、さまざまな方とお会いし開校の準備をしてきました。皆さんの反応は良かったですよ。
「どえらけにゃースゴかもんできそうだなあ」って。そうした周囲の期待感にも支えられ無事に開校することができました。でも、会社を辞めてNPOを立ち上げたことに、最初は両親から「何を考えているのかわからない」と言われましたね(笑)どうもボランティア活動みたいに思えたらしく。今は応援してくれていますけど。


Q:

大ナゴヤ大学の特徴を教えてください。

加藤:

18_v_02.jpg 組織の成り立ちという意味では、立ち上げの運営資金のほぼ全額が寄付金である点だと思います。最初は行政の助成金をいただける予定だったのですが、時期的な問題でそれが難しくなって。結局、市民のための大学にしようということで、毎日いろんな方に寄付のお願いをしてまわりました。運営が始まってからは、企業協賛などをいただく機会ができたのですが、大ナゴヤ大学は「市民の大学」なんだということを今も強く意識しています。
名古屋ならではの授業という意味では、最近だと、名古屋市の「武将観光」というのがありまして。織田信長、徳川家康、豊臣秀吉とすごい武将達が名古屋から出ているので、名古屋城や観光地に武将になりきった役者たちがいるんです。その徳川家康役をやっているのが、現在、名古屋では、多くの戦国武将を輩出した「武将の聖地」として武将になりきって名古屋城に来場した観光客などをおもてなしする「名古屋おもてなし武将隊」という活動が行われていますが、大ナゴヤ大学も結成当初より応援しています。そのつながりで、昨年の12月は織田信長役の人にも来てもらって授業をしました。信長が親父さんの葬式の場で、位牌にお香を投げつけるって有名なシーンを再現したんです。実際にそのお寺で役者の人たちが演技して、住職さんからの話を聞くような内容でした。
名古屋市は渋谷と比べればエリアが広いので、ほかにもネタは豊富だろうと思います。それだけに、単なるイベント屋にならないよう、きちんと地域の人に根ざし、「みんなで創る」感覚を忘れないようにしたいです。


Q:

「みんなで創る」とは、どういうことですか?

加藤:

18_v_03.jpg みんなが自分の街を良くするために隔たりなくつながる場になることだと思います。実際にそれが実現できるって確信を持ったのは開校前でした。名古屋で活躍している社会起業家さんやデザイナーさんといった方々を30人以上集めて「名古屋を良くする方法を考える」というイベントをしたんです。みなさん、本当に熱くて。年齢も職業も違う、考え方や理想も違う、その場で初めて出会った人同士が「名古屋を変えたい、もっと好きになりたい」って気持ちでしっかりと手をつなげたんですね。
また、彼らは愛知万博をふくめ名古屋のほかのプロジェクトでもよく見られるような有名なメンバーばかりで、それはそれで素晴らしいことですが、大ナゴヤ大学としては市民の一人一人とも手をつなぎたい。そこで自分が街づくりの協議会にも参加したり、商店街や地域のゴミ拾いを手伝いに行ったりしました。すると学長が来たということで互いに顔が見える関係を作れたんですね。最近は朝、ほかのスタッフと一緒に名古屋駅に立って、「大ナゴヤ大学の生徒に登録してください」ってカード配りをして。そうした活動のなかで、知らず知らずの間に寄付金をいただいたり、いろんな人達から思いもよらぬメッセージや支援を受けていたりすることを後から知って。自分が思っていた以上にたくさんの人達が、いろんな形で大ナゴヤ大学を支えてくれていたんです。
「互いを助け合える仲間がこんなにいる」ということに、この街がますます好きなったし、自分はとても幸せだって感じるようになりました。こういう気持ちを地域のみんなと共有したい。地元の人たちがつながり、互いを助け合える関係にしたいというのが今の僕の大きなモチベーションなんです。


Q:

大ナゴヤ大学は今後のどうなっていくのですか?

加藤:

18_v_04.jpg まずは地元の人が「名古屋はここが面白い」って言えることを増やしていきたいですね。まだまだ自分たちで気づいてない名古屋の魅力があると思います。たとえば、名古屋にはCMソングを500曲くらい歌っている方がいますが、彼女のことはあまり知られていなかったんですね。でも大ナゴヤ大学で授業をやったら「こんな人がいる」と新聞に特集記事が載って、そこからテレビ局の密着取材、全国紙掲載と、一気に有名になったんです。こうした形で、人をふくめた「地域の資源」をもっと発掘していけると嬉しいですね。
また、これは先の話ですが市民で大ナゴヤ運動会をやろうという案があります。名古屋の栄に100メーター道路っていうのがあるんです。もともと産業用に車優先の街づくりがされてきた部分があるので、もうちょっと人に寄った使い方をしたいねと開校前に実施したワークショップでのアイデアや街づくり協議会の方々などから、道路を横断する100メートル走とか綱引きとか、ぜひ実現してくれと。そんな大規模なことできるか心配だけど(笑)今、みんなで模索中です。
普段はなかなか気づかない名古屋の街と人の魅力を発掘して、それを発信したい。さらには社会の問題を解決しながら運営するという形を、文化として根付かせたい。そうした「社会の公器」として市民から支持される存在となるよう、きちんと持続可能な形で、社会の問題を解決できたという事例をひとつずつ丁寧に作っていきたいと思っています。

プロフィール:加藤慎康さん(かとうしんやす)

1972 年生まれ。名古屋市中川区出身。前職で商品事故の対策本部を務め、組織が心を一つにして変容するさまを経験、人のつながりや生き方に関わる仕事をしたいと考えるようになった。実家は名古屋市内で床屋を営んでおり、実父がお店のお客さんや組合員に対し、大ナゴヤ大学を勝手にプレゼンしているという。

(2010/02/24 | インタビュー 松本浄|撮影 掘田顕人 他)

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