シブヤ大学

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キャンパスライフ

イラスト
高田誠一さん

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高田誠一さん

(シブヤ大学 学生)

“私にとってシブヤ大学は
自分の興味や視野を広げ
深めてくれる場です。”

授業に興味があれば、一回きりの参加もできるシブヤ大学。しかし、生徒さんのなかには毎月のように何かの授業へ参加申し込みしているリピーターの人達がいます。高田誠一さんはそんな常連生徒さんの一人。さまざまな授業を熱心に受講する高田さんに、シブヤ大学の魅力とそこで得た体験について尋ねました。

Q:

シブヤ大学に参加されるようになったきっかけを教えてください。

高田:

17_v_01.jpg あるとき、表参道ヒルズのお店で「シブヤ大学」と書かれた緑色の電卓を見つけたのが最初でした。その時点でシブヤ大学のことは何もわかってなかったのですが、名前は記憶していて。後日、ふと検索してホームページを見つけました。それで、なるほど面白い活動だなと思い、気になった授業にさっそく申し込んだんです。明治神宮を夜間参拝する授業で、確か2008年の2月でした。
この授業では、明治神宮の森の中、普段は入れないような場所に一晩泊めてもらえました。神事についてお話を聞いたり、みんなで白い衣装を着て行進したり。夜、広場に座ると冬の澄んだ空が広がっていて、街の明かりはきれいだったし、星も意外とたくさん見えました。すべて新鮮な体験でしたね。その後、実家で授業中に朗読した「教育勅語」に関する話をしたら、父が「どうしてそんなことの知っているのか?」って。知識の面でもたくさん学びがありましたし、今でも心に残っている授業です。それ以来、授業のある第三土曜日はなるべく空けておくようにしています。


Q:

抽選制の申し込みでもよく授業に当選しているようですが、何か秘訣がありますか?

高田:

17_v_02.jpg 抽選結果は私も運ですが(笑)他の方と違う点があるとすれば、授業を選ばず申し込みしているからでしょうか?性別や年齢の条件で申し込めない場合を除いて、基本的にほとんどの授業に申し込みしています。これは、当初は興味がなくても実際に授業を受けてみたらすごく楽しかったという経験がたくさんあるからなんです。
たとえば、ちんどん屋さんの授業。表参道のキャットストリートをみんなで演奏しながら歩いたけど、道行く人から注目されることなんて普段体験できないことですよね。あとはプラナリアという変わった生物に関する授業も面白かった。授業のなかで体を4つに切ったプラナリアが、家に持ち帰って育てるとそれぞれが再生して4匹になったんです。驚きました。それから"エコビレッジ"という考え方を知ったのもシブヤ大学の授業が初めてでした。授業で紹介されたエコビレッジは赤ん坊からお年寄りまで50名くらいが、野菜を有機栽培しながら自給自足を基本に共同生活するスタイルで、とても興味がわきました。 どれも授業参加前の自分は思いもしなかった世界があり、そこにたくさんの刺激と発見がある。私にとってシブヤ大学は、自分の興味や視野を広げてくれる存在なんだと思います。


Q:

そうした体験で、高田さんご自身に何か変化はあったのでしょうか?

高田:

17_v_03.jpg 農業に対する考え方なんかは、この2年間でずいぶん変わってきたと思います。実は、農業そのものは以前から気になっていたんです。私はテーマパークを管理する企業に勤めていますが、それは食べ物を生産しているわけではないし、人間の生存に不可欠な仕事ではありません。しかし、農家の人が出荷を止めたら自分の食卓は簡単に干上がってしまう。だから、食べ物を作ってくれる生産者と自分の関わりとか、都会にいて自分にできることは何かとか。そうしたことに興味があったんです。ただ、漠然と「いつか学ぼう」という程度でした。
ところが、シブヤ大学を見つけて間もなく、ツーリズムの授業に参加する機会があって「いつか」が突然「今」になりました。最初のツーリズムは新潟の「雪掘り」。実際にやってみると雪"降ろし"じゃなく"掘る"感覚なんですね。このツーリズムで一度は農家を訪ねてみたいと思っていたことが実現できました。雪掘り自体はやはり大変でしたが、白銀の棚田が幻想的でとても美しかったですね。
これをきっかけに、その他のツーリズムや授業にも参加し、いろいろなことを学びました。野菜は野山で他の雑草との戦いに勝ち抜いて育ったものが自然の姿だと聞いたときは愕然としました。ほかに、農業で生活することの難しさ、農薬に関する問題の複雑さ、酸性雨による松枯れの問題など、知識と体験の両面からたくさんのことを吸収できました。今はようやく、農業をいろんな視点から立体的に理解できはじめたところだと思っています。


Q:

積極的に学び始めた農業というテーマは、ご自身のなかで今後どうなっていきますか?

高田:

17_v_05.jpg そうですね。現在参加しているシブヤ大学の畑ゼミでは、恵比寿で野菜を育てながらその大変さと楽しさを実体験しているところです。
実は2008年の授業でエコビレッジのことを習った後、その成功例として紹介された静岡県富士宮市の体験ツアーに参加しています。そこで、玉ねぎの定植や大根の土寄せ、農機具の手入れ、白菜の冬越しの準備、下草刈り、うねづくり、昨年のゴールデンウイークには田植えも体験しました。それに農作業だけではなく、ここの価値観にも共感し、関心を持っています。エコビレッジで暮らす人はみんな、お互いを必要とし、平等な関係なんです。たとえば、何か揉め事や問題があれば全員で話し合います。夜中まで何時間も続くこともあります。私たちが普段の生活であきらめ「我慢」で済ませてしまうようなことも、ここではきちんと表に出すことでお互いを磨き、解決していくんです。今後はシブヤ大学以外でも、その場所ならではの学びにもっと目を向けてみたいなと考えています。
実は私、幼い頃は野菜が苦手で偏食もひどく、芋と豆以外の野菜は口にしてももどしてしまうほどだったんです。大人になるにつれ苦手意識はなくなり、今は口にできない物もわずかになりました。でも当時から考えると、今こうして自分で畑を始め、自ら農について学んでいるのは、夢のまた夢のようです。農というテーマは、まだまだ自分なりの答えを探求しているところ。今後も学び続け、これはきっと自分のライフワークになっていくだろうと思っています。

プロフィール:高田誠一さん(たかだせいいち)

京都市出身。10歳より東京で暮らしている。現在はウォルトディズニーの日本支社で経営戦略を行う。ビールゼミや隣人祭りほか多数の授業に参加し、月に3〜4回はシブヤ大学をきっかけにした友人らとの付き合いがあるほど。旅と温泉と日本酒を趣味とし、最近はお酢に凝っている。

(2010/01/20 | インタビュー 松本浄|撮影 黒田紀行 他)

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