シブヤ大学

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キャンパスライフ

イラスト
松田高加子さん

FILE.12

松田高加子さん

(「映画音声解説ゼミ」先生)

“映画には音声解説が付いているのが
あたりまえって皆が思える世の中を目指して。
失敗と成功を繰り返しながら、
ちょっとずつ前進しています。”

映画音声解説ゼミの松田高加子さんは、街の先生としてシブヤ大学に応募し、授業、ゼミという形でシブヤ大学での活動を続けています。普通のOLが、授業やゼミでメッセージを伝えるという行為を通して、失敗と前進を繰り返してきた3年間。そんな彼女に、自身の変化と現在活動中のゼミに対する想いを伺いました。

Q:

映画音声解説と松田さん自身の活動について教えてください。

松田:

m_matsuda3.jpg 映画音声解説とは、視覚に障がいのある人が映画を観るときにそのシーンの天気や風景、登場人物の表情や動作、場面の転換などを伝える、見えない不自由さをフォローする字幕のようなものです。
私は元々、英語の映画の字幕翻訳の学校に通っていたのですが、そこで学んだ知識を映画に関わる何かで活かしたいと思い、音声解説を通じて視覚障がいを持つ方の支援を行っているシティライツという団体に参加しました。きっかけは映画への興味でしたが、活動の中で視覚障がいを持った友達ができたことにより、目が不自由でも映画を観たい気持ちは同じなんだと気づき、音声解説の大切さを感じるようになりました。


Q:

街の先生としてシブヤ大学へ応募したのはどのような想いからだったのでしょうか。

松田:

m_matsuda2.jpg 音声解説の製作や上映会を開いたり、視覚障がいを持った方を支援する活動をシティライツで続けるうちに、もっと世の中の人が音声解説を自然に必要だと思ってくれるためのPR活動をしたいと思うようになっていきました。それを「虹とねいろプロジェクト」と名付け活動を始めたんですが、一介のOLが音声解説を広めていくなんて、どうして良いか分からなかったし、一緒にやっていく仲間を集めるのも大変でした。そんな時に、開校前のシブヤ大学の話を聞いて「これだ!」って思ったんです。シブヤ大学の授業を通じて、多くの人に活動を伝えたり、一緒にやってくれる仲間とつながれたりするんじゃないかって思って、開校してすぐに街の先生に申し込みました。それで、最初にやらせてもらった授業が「新しい映画鑑賞法のススメ〜目をつぶって、映画を観よう!〜」です。


Q:

ゼミの活動を始めたきかっけと活動の内容を教えてください。

松田:

m_matsuda6.jpg 授業を行った時は、私自身に大人数に向けてメッセージを伝える力がまだ無くて、思いを伝えきれなかったモヤモヤが残ったんです。だから今度は、もっと少ない人数で時間をかけて活動をしたいと思い、始めさせてもらったのが映画音声解説ゼミ。音声解説を付けた映画の上映会をやりましょうってゴールに向かって20人くらいのメンバーで活動を行いました。映画音声解説ゼミって名前だから普通は音声解説作りのノウハウ講座になりがちなんだけど、映画がどう上映されるか、見る人が楽しむためには何が必要なのかとか、隅の隅まで考えないと意味は無いと私は思うんです。参加したゼミ生に、私が体験したのと同じように視覚障がいを持った方とのコミュニケーションから音声解説の大切さを感じてもらいたくて、上映会を目の見えない方に伝える方法を考えたり、駅から上映会場までの誘導もしたり、そういう部分を大切にしていました。
そんな1年目のゼミは、作品作りも集客も誘導も皆が熱心に行ってくれたので、当日参加した視覚障がいを持った方にも「ありがとう」という言葉を言ってもらえて、十分楽しんでもらう事ができたと思います。
m_matsuda4.jpg ただ、私としては、また反省が残ってしまいました。本当は、もっと当事者(視覚障がいを持った方)を巻き込む活動にしたかったのに、映画上映をメインにしちゃったから、交流とかコミュニケーションの時間があまり取れなくてゼミ生と視覚障がいを持った方が、自然に友達になるレベルまでは、至らなかったんです。だから今度はコミュニケーションをベースにしたゼミをやろうと思い、ゼミ第二章をはじめました。
この第二章では、一見映画音声解説に関係ないんじゃないってこともいろいろやっています。目隠しをしてビールを飲んだり、目隠しをして買い物をしたり。これらのワークは、映画を観る一日をイメージしているんです。まず情報を探してどの映画を見ようって考える、じゃあ洋服は何を着ていこう、お化粧はどうしよう、交通手段はどうしよう、映画館に行ったら音声解説が必要、映画の後は友達と食事をしたりビールを飲んだり。そんな一日を体験していくゼミです。音声解説の製作はサブ的に進めて、「遊ぶ」をメインテーマにやっています。目隠しをすれば、目の見える人も見えない人も同じになるでしょ。そんな遊びを通じたコミュニケーションから何かを感じてもらいたいんです。


Q:

松田さんにとってシブヤ大学で授業を最初に行ってから今までの3年間はどのようなものだったのでしょうか。

松田:

m_matsuda5.jpg シブヤ大学は成長の場だと思います。最初に授業をやった頃は、まだ自分の考えも固まっていなかったし、上手く伝える技術もなかったんです。でも、授業やゼミを繰り返すうちに、それが少しずつ分かってきたと思うんです。だから次の課題は、継続して参加してくれる仲間が私以上に新しいアイデアを出して実現していける雰囲気づくりだと思っています。それと、去年からのゼミ生は、録音とか編集は私よりできるようになっているから、今後の活動を通じて、映画音声解説がもっとあたりまえになって製作の依頼が増えたりしたら、今の仲間達をもっと巻き込んでプロジェクトを大きくしていなぁと夢見たりしています。こんな風に課題と夢を持てるのは、素晴らしい成長の場なんだと思います。

プロフィール:松田高加子さん(まつだたかこ)

2001年から、視覚障がい者の映画鑑賞環境を整える活動を行っているボランティア団体に参加。自身の活動「虹とねいろプロジェクト」を立ち上げ、映画音声解説の製作の他、シブヤ大学での音声解説ゼミなど、見える人に知ってもらうための広報、施設の視覚障がい者対応の相談など少しずつ活動の幅を広げてきている。『全ての映画に音声解説をつけたいわ♪』をモットーに前進中!映画音声解説ゼミ第二章、メンバー随時募集中。

(2009/09/11 | インタビュー 竹田芳幸|撮影 左京泰明 他)